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23/06/12

公取委・実態調査、荷主777社に注意喚起文書

 公正取引委員会が荷主と物流企業の取引実態を調査したところ、独占禁止法につながる恐れがあるとして、777社の荷主に注意喚起文書を送付したことが分かった。買いたたきや支払い遅延、代金の減額が全体の7割を占めた。
 調査は昨年9~10月に荷主3万社、今年1月に物流4万社に実施。その後、労務費や原材料費、エネルギー費などのコスト上昇分の協議を行わず、取引価格を据え置いた疑いのある荷主101社に立ち入り調査した。
 結果、独禁法につながる恐れがあるとして、荷主777社に注意喚起文書を送付した。業種別では「協同組合」が全体の10・6%を占めた。「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」(7・5%)、「化学工業」(5・8%)も多かった。

30年前のタリフで据え置き

 注意喚起文書を送付した荷主のうち、行為類型別で最多だったのが「買いたたき」で22・6%。具体的には、30年ほど前に定めたタリフ(運賃表)を基に運賃を据え置いたり、大型トラックでなければ積載困難な運送を依頼したにもかかわらず、一方的に中型トラックの運賃を適用したりした事例が見つかった。
 また「代金の支払い遅延」も23・1%を占めた。一例では、荷主担当者の事務処理忘れで期日に運賃を払えなかったにもかかわらず、物流企業に請求日を遅らせた請求書を再作成させた上、支払いも1カ月遅れた企業があった。他にも、「代金の減額」(22・1%)、「不当な給付内容の変更・やり直し」(15・0%)と多かった。
 調査結果について、公取委は関係省庁、関係団体を通じて周知し、違反行為の防止を図っていく方針。荷主と物流企業の取引状況を把握するため、今後も調査を続ける計画で、優越的地位の乱用に該当する恐れのある事案は厳正に対処していくとしている。