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23/05/29

国交省、適正取引を改めて要請

 国土交通省は5月22日、トラック運送業の適正取引推進会議を開き、全日本トラック協会、特積みを主体とする大手・中堅トラック企業20社などが出席した。2回目となる会合にはメーカーの物流子会社6社も参加し、価格転嫁をはじめとする下請けとの適正取引を改めて要請した。
 同会議は、下請けによるコスト上昇分の適切な転嫁とドライバーの労働環境改善を図り、昨年12月に設置。政府や行政、運送企業の取り組みなどを共有し、元請けとなる運送企業の経営層に理解・協力を呼び掛けた。
 堀内丈太郎自動車局長は、2024年4月の残業上限規制適用により、24年に輸送能力が14%不足する懸念があることに触れ、「荷物が運べなくなることが起こらないよう、実効性のある対策に取り組む必要がある」と説明。「物流業界全体で、トラック事業への適切な価格転嫁、適切な取引環境整備に向けた機運を醸成したい」と求めた。

物流子会社も取り組み紹介

 全ト協の坂本克己会長も「社会の求める質の高い物流に対し、適切な運賃と付加価値のある料金を提案し、大中小の規模を問わず、汗水流す実運送会社が浮かばれる環境をつくり出すことが重要」と強調。「根本にあるのは、健全経営を通じ、しっかりと適正な運賃を収受することが必要だ」とした。
 会議では、各省庁が昨年12月以降進めてきた施策を確認。その後、佐川急便、日本郵便、福山通運が下請けとの適正取引に向け、取り組んできた内容や進ちょくを紹介した。メーカー側も、F-LINE、大和物流、三菱電機ロジスティクスなどが取引環境を改善するための取り組みを説明するとともに、各業界特有の課題を共有した。
 複数の出席者によると、国交省が物流子会社に対し、「親会社とは適正取引の考えが共有されているのか」といった趣旨の質問が出たようだ。同日の会議では、発表をしなかった企業も交えて意見交換が行われた。

会議には元請けとなる大手・中堅の代表的な運送企業が集まった