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23/05/29

経産省が荷主に要請「トラックの待機・荷役2時間以内に」

 経済産業省は5月19日の国の持続可能な物流検討会で、発着荷主に工場や物流センター周辺での車両待機、施設内での荷役の合計時間を原則2時間以内にするよう求める案を提示した。来年4月の残業上限規制適用が迫る中、トラックドライバーの労働時間削減を目指す。
 物流業界では、ドライバーの残業を含む長時間労働が深刻な問題で、物流をこれまで通り維持させるためには、発着荷主と連携した、業務の生産性向上が不可避とされている。そこで経産省は、車両待機・荷役の合計時間を原則2時間以内と定め、発着荷主に削減を求める。

輸送不足補うために設定へ

 NX総合研究所の調査によると、24年4月からの残業上限規制の影響で、2024年度には4億トン分の輸送能力が不足するとされ、それを補うため、経産省は荷待ち・荷役の削減が必要とした。
 国土交通省は、待機56分、荷役36分の短縮が必要と試算。同省のトラック輸送の実態調査によれば20年度、待機で1時間34分、荷役で1時間29分かかっていた。その結果から試算分を引くと荷待ち38分、荷役53分になり、合計で1時間31分と、2時間以内に収められると、経産省は判断した。
 鉄骨や液体のようにフォークリフトでの荷役が不可能で作業に時間がかかり、2時間以内にすることが難しいとする荷主と共に、既に2時間以内に収めている荷主に対しても目標時間を各自で設定させ、短縮に努めてもらう。政府が6月上旬に策定する緊急の政策パッケージに盛り込む方針だ。