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23/05/19

ネクストロジ・アサヒG・西濃・ヤマト、FC大型トラック走行の大規模実証

 

アサヒグループ、西濃運輸、ヤマト運輸が実際の輸送業務でFC大型トラックの走行実証に取り組む

 

 ネクストロジスティクスジャパン(=NLJ、本社・東京、梅村幸生社長)は、アサヒグループジャパン、西濃運輸、ヤマト運輸とともに、水素を燃料とした燃料電池大型トラック(FC大型トラック)の大規模な走行実証に取り組む。5月から、順次、各社の輸送業務に車両を投入。サステナブル(持続可能)な物流の実現に向け、水素燃料活用の可能性と実用性を検証する。
 日野自動車とトヨタ自動車が共同開発したFC大型トラックを実証で使用する。水素と酸素の化学反応で電気を発電し、走行中に温室効果ガスを排出しない。「日野プロフィア」の車型をベースに開発し、車両総重量は25トン。航続可能距離は約600キロメートル。
 

燃料電池システムと高圧水素タンク

 トヨタのFC技術を応用し、大型トラックに最適化したFCスタックを2基搭載。さらに、新開発の大型高圧水素タンクを6本搭載している。貯蔵した水素と大気中の酸素をFCスタックに取り込むことで発電。その電気でモーターを駆動させて車両が稼働する。水素給油口は将来的な運用を見越し、高速水素充填規格にも対応できる。
 ヤマト運輸は5月17日、都内と群馬県の大型拠点間を結ぶルートで、走行実証を開始した。羽田クロノゲートベース(東京都大田区)近くの水素ステーションで燃料を充てんし、同ベースで荷物を積んで群馬県前橋市の群馬ベースで荷下ろしする。群馬ベースで荷物を積み込んで羽田ベースへ戻る。
 NLJとアサヒグループは同19日、共同で関東エリアの複数の拠点間を結ぶルートで走行実証を開始した。茨城県守谷市のアサヒビール茨城工場で、ビールや清涼飲料を積み込んだ後、車両を走らせ、東京都大田区のアサヒビール平和島配送センターで再び洋酒やワインなどを積み込む。神奈川県相模原市のNLJ相模原センターで荷降ろしし、関西からの荷物を積み込んでアサヒビール茨城工場へ戻る。
 また、西濃運輸は6月から、都内の支店と神奈川県内の2支店を結ぶルートで走行実証を開始する。東京支店(東京都江東区)近くの水素ステーションで燃料を充てんし、東京支店で荷物を積み込む。神奈川県小田原市と相模原市の各支店で荷物を降ろし、東京支店へ戻る。
 各社はFC大型トラックの稼働を通じ、ドライバーの使い勝手や、水素ステーションでの充てん時間を含む運行管理などを検証する。車両開発に関しては、燃料電池システムと電動システム全般の作動を検証。環境や走り方の違いによる水素消費変化を把握し、水素ステーションでの給水素情報を取得する。車両の運転操作性や使い勝手全般に関する情報も収集し、FC大型トラックの環境性能と商用車としての実用性を実証する。
 日野自によると、国内商用車の温室効果ガス排出量のうち、全体の約7割を大型トラックが占めている。特に幹線輸送に使う大型トラックは十分な航続距離と積載量、短時間での燃料供給が必要なことから、エネルギー密度の高い水素を燃料とする燃料電池システムが有効としている。