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23/05/18

新明和工業、フレイン社と輸送用機器向け水素供給ユニット開発へ

 新明和工業(本社・兵庫県宝塚市、五十川龍之社長)は2025年の商品化を目指し、水素製造・貯蔵装置を手掛けるフレイン・エナジー(同・札幌市、小池田章代表取締役)と共同で、トラックなどの産業車両や建設機械、船舶や港湾機械といった輸送用機器向けの水素供給ユニットの開発を進める。二酸化炭素削減に有効な水素エネルギーの安定供給体制の整備につなげる。
 このほど商品化に向け、フレイン社が開発した、メチルシクロヘキサン(MCH)から水素を取り出す脱水素装置の試作機による実験を、新明和工業社内で開始した。同装置は、水素とトルエンを触媒反応させたMCHの貯蔵や輸送を容易にする有機ハイドライド技術を用いた仕組みで、太陽光や風力といった再生可能エネルギーから生成された水素を輸送に適したMCHにいったん変換し、貯蔵を経て、利用地でMCHから水素を取り出すもの。
 脱水素装置の試作機による実験は24年までを一次期限とし、安全性や高効率化、生産性を検証する。2社で試作機の完成度を高めると同時に量産化に向けた課題や需要先の洗い出しを行い、フレイン社との連携で、25年をめどに、コンパクトさを利点とする水素供給ユニットの商品化を目指す。量産体制の構築も計画している。
 また、フレイン社は、既に水素を用いた小型発電ユニットの製品化にも成功。新明和工業は、これまで重量や体積がネックとなっていた輸送用機器への適用も期待できるとしている。
 新明和工業は22年8月、フレイン社と水素サプライチェーンを構成する製品の共同開発に関する契約を締結。新規ビジネスの一環として、有機ハイドライドを使った水素の貯蔵・供給技術を有するフレイン社との提携を生かし、水素事業に取り組む方針を掲げている。

フレイン社との連携で構想する水素サプライチェーンのイメージ