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23/05/18

国交省・全ト協・ОCHIS、健康管理徹底呼び掛け

 ドライバーの労働時間規制強化に伴う2024年問題で人材確保が重要課題となる中、国土交通省、全日本トラック協会(坂本克己会長)は、運送各社にドライバーの健康管理を徹底するよう呼び掛けを強めている。増加傾向にあるトラックの健康起因事故を防ぐため、全ト協とヘルスケアネットワーク(=OCHIS、武田裕理事長)が展開している「運輸ヘルスケアナビシステム」などを活用し、健康診断結果の把握による健康管理を行うよう働き掛けている。
 21年のトラックの健康起因事故報告件数は、死傷者を生じた16件を含め110件で前年比5件増加。「増加傾向で約半数が(衝突・接触を伴う)事故に至っている」(国交省自動車局の村上強志安全政策課長)。半面、業界は24年問題対応で人材確保が急務。「健診結果の把握による健康管理で、既存のドライバーに健康で長く働いてもらうことが24年問題解決の鍵になる」(全ト協の大西政弘交通・環境部長)。
 全ト協は17年度から、健康起因事故防止を目的に、OCHISを委託機関として健診結果の把握を支援する運輸ヘルスケアナビシステムを展開。健診結果と治療・生活改善の必要性を見える化し、健康起因事故を起こすリスクの高いドライバーへの再検査の勧奨を容易に行える仕組みだ。全ト協は今年度からGマーク(安全性優良事業所)制度の判断基準で、同システムなどを活用した健診結果把握を加点対象に加えた。
 同システムを活用中の企業では、高リスクのドライバーの数を大幅に減らす成果も。「健診結果を基にリスクの重篤度を把握し治療を促すといった繰り返しで、高リスクのドライバーは減っていく」(OCHISの作本貞子副理事長)。
 OCHISは、肥満、高血圧、脂質異常、高血糖の全4項目で有所見となったドライバーを対象にした労災2次健診の活用を広げるため、今年4月から医療機関とのタイアップを進め、脳・心臓疾患の早期発見と予防を支援する環境づくりを加速している。
 国交省の村上安全政策課長は「同システムの活用はドライバーの健康寿命を延ばす観点でも有意義。業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)にもつながる取り組みで、安全で効率的な物流を実現するためにも重要と考えている」と話す。

官民で健康管理対策を呼び掛ける(左から全ト協の大西交通・環境部長、国交省の村上安全政策課長、OCHISの作本副理事長)