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23/04/11

国交省、鉄道偏積防止策の強化で関係者向け教育拡充へ

 国土交通省は3月29日、鉄道コンテナの偏積事故の防止策を話し合う検討会を開き、今後の対策をまとめた。2021年12月に広島市のJR山陽線で起きた貨物列車の脱線事故で、関係者間の情報展開が十分でなかった経緯を踏まえ、荷主やコンテナの積載を担う積み込み会社などへの教育体制を充実させる。
 JR山陽線の貨物列車脱線事故は21年12月28日、瀬野駅―八本松駅間で発生。運輸安全委員会の報告書によると、当時車両に積載されたコンテナは、左右の重量バランスを表す「偏積率」がJR貨物の指針で定める10%を大きく超えていた。これが原因でカーブ通過時にバランスを崩し、脱線した可能性が高いと指摘していた。

積み込み会社の対応に重点

 今後の対策では、偏積対策の情報が積み込み作業者まで行き渡るよう、情報の周知ルートを整理した上で、偏積の発生原因に合わせ、国交省が関係する業界団体、荷主、積み込み会社などに対策の情報展開、協力依頼を行う。積み込み会社の教育の充実化に向けては、JR貨物を中心としながら教材を作成し、教育体制を構築する。
 偏積発生時の責任所在の明確化では、貨物運送約款を見直したほか、利用運送会社と積み込み会社間での確認申告ルールを徹底する。ハード対策では、25年までに偏積発生の可能性がある全ての貨物ターミナル駅で、輪重測定装置、ポータブル重量計などを設置する。
 また新たな取り組みとして、JR貨物と全国通運連盟が主催する偏積防止勉強会に、積み込み会社の参加を呼び掛け、関係者が一体となった検討を実施。結果は国も参加する安全環境委員会を通じ、広く情報展開する。