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23/03/13

公取委、23年度行動計画で独禁法などの執行強化

 中小企業の適正な価格転嫁に向け、公正取引委員会は1日、2023年度の取引公正化推進アクションプラン(行動計画)を策定した。独占禁止法の執行を強化するため、22年度の規模を上回る書面調査の実施や、緊急調査で注意喚起た企業の価格転嫁状況を確認することなどが柱。下請け法についても、22年度の違反事案の処理状況を踏まえ、重点立ち入り業種を選定して調査を行う。
 アクションプランは、価格転嫁を促し中小の賃上げを実現する、政府の価格転嫁パッケージを踏まえたもの。昨年3月末に策定し、独占禁止法の優越的地位の乱用の実態を把握する緊急調査、業界団体への自主点検の要請などを進めてきた。
 23年度はこれまでの結果を踏まえ、より取引適正化の取り組みを推進する。独禁法の執行強化に向けては、6月をめどに、22年度に行った22業種11万社を超える規模で緊急調査を実施。コスト構造で労務費の割合が高い業種は重点的に調査票を送り、労務費に関する対応を強化する。
 22年度調査で、優越的地位乱用の疑いがあるとして注意喚起文書を送った4030社と、下請けとの協議に応じず社名公表された13社は、その後の価格転嫁の状況を確認する。23年度の書面調査で価格の据え置きなどが疑われる事案は、立ち入り調査をした上で結果を公表する。
 独禁法関連では、荷主と物流企業の調査も前回を上回る規模で実施。問題につながる恐れのある事案は、懸念事項を示した注意喚起文書を送付するとともに、独禁法が認められた事案は厳正に対処していく方針だ。

問題行為の考え方を周知へ

 また下請法の執行強化に向けては、これまでの違反事案の処理状況などを踏まえ、重点立ち入り業種を選定。調査から協議せずに価格を据え置くといった違反が認められた事案は勧告や指導を行う。下請法違反の再発防止が不十分な企業に改善報告書を要請したり、違反の多い業種へのフォローアップも行う。
 また、法律上問題となり得る取引価格据え置きの考え方も引き続き周知する。公取委は交渉の場で明示的に協議することなく、従来通りに取引価格を据え置くことや、価格転嫁をしない理由を書面、電子メールなどで取引相手に回答することなく据え置くことを、違反行為に該当するとしており、企業や業界団体への周知を徹底する。
 この他、中小企業の相談窓口や違反行為情報提供フォームで情報を収集し、調査に役立てる。