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23/02/16

23年度賃金改善見込み 「運輸・倉庫」の伸び率トップ 帝国データ調査

 帝国データバンクは2月15日、「2023年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を公表した。23年度の賃金動向について回答企業の6割近くが改善を見込む中、「運輸・倉庫」の改善を見込む割合は55・1%。前年の48・5%から6・6ポイント増となり、伸び率は調査対象10業界のうち最も高かった。

 10業界全体で、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は 56.5%と2年連続で増加、18年度見込み(18年1月調査)と並び過去最高水準となった。一方、「ない」と回答した企業は17・3%で前年調査から2・2ポイント低下。調査開始以降で最も低い水準だった。物価高が進行する中、人手不足感がコロナ禍以前の水準まで高まり、労働者の定着・確保に奔走する企業の姿が浮き彫りとなった形だ。

 賃金改善を見込む割合を業界別に見ると、「建設」が60・1%と10業界で最も高く、「製造」が60・0%、「卸売り」が57・2%と続いた。「運輸・倉庫」は55・1%で「サービス」に次ぐ5番目の高さだったが、前年からの伸び率は6・6ポイント増と10業界で最高だった。

 

 10業界全体で、賃金改善の具体的な内容を見ると、「ベースアップ」が49・1%(前年比2・7ポイント増)、「賞与(一時金)」が27・1%(同0・6ポイント減)だった。「ベースアップ」の割合は前年の46・4%を上回り、2年連続で調査開始以来最高を更新した。 賃金改善の状況では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の全てで、前年調査の22年度見込みと比べ改善を見込む割合が上昇。従業員員数別では「6~20人」「21~50人」「51~100人」で改善を見込む割合が6割を超えたのに対し、「5人以下」と「1000人超」では4割弱にとどまった。特に「5人以下」は賃金改善を実施しない割合が33・1%と突出して高く、賃金改善を行う環境が厳しくなっていることがうかがえた。

 また、賃金改善が「ある」と回答した企業に理由を尋ねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が71・9%で最多。「従業員の生活を支えるため」も70・1%と7割を超え、トップに迫る水準だった。「物価動向」を理由とする賃金改善も57・5%と前回に比べ35・1ポイントの大幅増となった。
 調査は全国2万7362社を対象に、1月18~31日に実施。有効回答企業数は1万1719社(回答率42・8%)で、そのうち「運輸・倉庫」は532社だった。