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23/02/14

国内医薬・医療物流の外部委託、2021年度市場は1170億円

 矢野経済研究所の調査によると、2021年度の国内医薬品・医療器材のメーカー物流アウトソーシング(外部委託)市場規模は、受託企業売上高ベースで前年度比6・4%増の1170億円となった。医薬品・医療器材などの出荷量や物流関連企業などへの委託率の増加、委託業務範囲の拡大で、市場規模は12年度比で約1・6倍に伸びている。

                国内医薬品・医療器材のメーカー物流アウトソーシング市場規模の推移

 

 矢野経済によれば、10年度以降、特に医療用医薬品などの物流管理業務に注目が集まり、本格的に請け負う関連企業が増加。18年には厚生労働省から医薬品の日本版GDP(適正流通基準)ガイドライン(指針)が発出され、医薬品の物流業務でもGDPに基づく品質管理が求められるようになっている。「GDP対応が可能かどうかは、引き続き外部委託先選定の重要なポイントになっている」(矢野経済)。
 さらに製薬企業の工場から医薬品卸までにとどまらず、医療機関に届くまでの温度管理の測定なども問われるように。物流企業と医薬品卸間での連携なども焦点になり、実際に提携の事例などが増えているとしている。
 将来展望については、各メーカーが委託する物流関連企業の新規開拓先は限定される方向にあるとした半面、「低温度帯での管理を要求される製品が増えるなど、受託業務価値としての広がりは期待できる」(同)とみている。
 また、医薬品などの物流業務周辺では、データプラットフォーム(基盤)を基にした詳細な流通情報を可視化させようという機運も高まりを見せている。矢野経済は「個社に対応した製品サプライチェーンの範囲を超え、将来的には業界横断的な流通管理システムとして発展する可能性なども考えられる」としている。