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23/01/23

持続可能な物流検討会、中間まとめ案で着荷主対策の検討明記

 経済産業省、国土交通省、農林水産省は17日、持続可能な物流の実現に向けた会合を開き、トラックドライバーの長時間労働を抑制するための中間まとめ案を提示した。省エネ法や他業種で施行されている既存法令を参考に、具体的な荷主対策の検討を明記したのがポイントとなる。
 
 中間まとめ案では、非効率な商慣習是正や取引適正化などの物流業務過程の課題解決を目指した取り組み、荷主・消費者の意識改革、電気トラックや環境に優しい物流施設整備などの標準化・効率化推進に向けた環境整備の3本柱で示した。
 物流業務過程の課題解決と荷主・消費者の意識改革では、荷主向けの措置の検討を盛り込んだ。具体的には内航海運業法と建設業法を参考にし、荷主と運送企業間で契約書を交付を義務付け、契約条件を明確にする方針を示した。
 現在、国交省は契約の書面化を推進しているが、契約書がなく口頭で内容を決めることが散見されるため、特に付帯作業と料金収受の実態を見える化させる。
 物流施設周辺での荷待ち、荷役削減、納品回数の減少に向けては、発荷主にエネルギー使用計画策定などを義務付ける省エネ法を参考にしつつ、何らかの手法で、着荷主にも物流改善義務を課せないか検討する。発荷主や運送企業が改善を求めても、納品時期を決定する着荷主には規制がないため、法令や制度で参画させる仕組みを構築することを盛り込んだ。
 また意識改革では、法令で荷主の物流改善推進があることに着目。例えば、省エネ法や鉄道事業法では、一部企業でエネルギーの使用や安全に関する管理者を選任する規定があることから、着荷主でも何かを切り口に、同じような仕組みをつくれないかを検討する。着荷主の物流部門の担当者が改善の必要性を理解していても経営者まで伝わらず、改善に至らない場合もあり、課題となっていた。
 中間まとめ案は17日の会合で、委員からおおむね了承を得た。3省は2~4月中にも、物流と荷主の業界団体に、運送下請け状況、契約書や納品時間などの実態を調べた上で、5~6月に最終まとめを提示する。