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23/01/23
厚労省、保護帽などの義務を積載量5トン未満も対象に拡大
厚生労働省は10月から、最大積載量5㌧未満のトラックで荷役作業を行うドライバーにも、昇降設備の使用と保護帽(ヘルメット)の着用を義務付ける。労働生産性を高めるため、導入が広がるテールゲートリフターについても、企業に荷役作業についての特別教育を義務化する。
見直しは昨年8月、荷役作業の安全対策を話し合う、陸上貨物運送事業労働災害防止協会の検討会がまとめた報告書を受けたもの。3月下旬にも、労働安全衛生規則の改正省令を交付する。その後周知期間を設けた上で、10月1日から改正省令を施行する。
昇降設備の設置と保護帽の着用義務付け対象を拡大するのは、貨物の積み降ろし作業で労働災害が相次いでいるため。厚労省によると、長年、トラック運送業の死傷災害のうち、転落・墜落事故は全体の3割弱を占める状況が続いている。労働安全衛生規則の見直しで参考とした2020年度は、転落・墜落事故の4割が最大積載量5㌧未満の車両で発生していた。
現在の労働安全衛生規則では、昇降設備の設置と保護帽の着用を、最大積載量5㌧以上のトラックで荷役作業を行うドライバーに義務付けており、厚労省は労災を防止するため、対象を見直す必要があると判断した。
テールゲートには特別教育
また改正省令では、労働安全衛生法が規定する特別教育の対象にテールゲートリフターの取り扱いを加え、安全衛生教育を義務化する。テールゲートリフターの利用を巡っては、使用者が危険性を認識していないことから、毎年複数の労災が発生。陸災防の検討会がまとめた報告書によると、テールゲートリフターが原因の休業見込み日数60日以上の死傷災害は4割以上を占め、フォークリフトより多かった。
このため10月から、テールゲートリフターの操作の業務を労働安全衛生法で特別教育が必要な業務に規定し、企業に学科と実技教育を求める。
この他、改正省令では運転席とテールゲートリフターの操作位置が異なる場合、逸走防止措置を義務付ける代わりに、原動機の停止義務から除外する。いまの労働安全衛生規則では運転席から離れる際、原動機の停止を義務付けているが、ドライバーが荷役作業を兼務し、テールゲートリフターの操作で運転席から離れる必要があるため、規制を見直すこととした。