• 行政・業界団体

23/01/16

乗務前自動点呼、導入に向け5月ごろから実験開始

 人の代わりにロボットが点呼を行う自動点呼について、国土交通省は今年から、乗務前の導入に向けて動き出す。安全に不可欠なドライバーの健康状態を把握するため、どんな要件が必要かを検討した上で、春ごろから実証実験を展開する。
 自動点呼はICT(情報通信技術)で運行管理を高度化し、ドライバーや運行管理者の負担を減らしながら、運送各社に正しい点呼を確実に行わせる施策。運行管理者が行っていた点呼を、ロボットやシステムが代わりに行うことを認める制度で、今月から乗務後に限り導入した。一方、乗務前はドライバーの健康管理などを正確に把握し、乗務可否を判断する必要があることから、慎重に導入を検討している。
 検討では、まず年度内をめどに、ドライバーの健康状態を定量的に判断・確認するための方法を検討し、具体的な実験概要を固める。昨年、国交省が企業に現在行っている手法などを調べたところ、体温や血圧を測定し、運行管理者が絶対値や個人の平均値と比較して乗務可否を判断しているとの回答が多かった。心拍数や脈拍を判断材料とする企業もあった。

 各業界団体の推薦企業参加

 乗務可否の判断にはさまざまな手法があることから、より詳しく調査をしたり、遠隔点呼の取り組み実績を踏まえつつ、乗務後自動点呼でドライバーの健康状態を把握する要件を検討していく。
 その後は5月ごろから実証実験を始める計画で、トラック・バス・タクシーの各業界団体の推薦を受けた企業に乗務前点呼でロボットを使ってもらう。制度化に向けては多様な運行形態で検証する必要があり、トラックでは事業規模の大きさ、短距離、長距離、ルート配送などに分けながら企業を選定する。
 実験は2段階で行い、開始後1カ月間は運行管理者を同席させて運用する。7~8月ごろに行う2次期間では運行管理者を同席させず、トラブル発生時のみ対応する。企業へのヒアリングも実施し、対面点呼と比較して点呼の確実性で優劣があったかや、実験中に発生した問題と対処法、導入効果なども検証する。点呼支援機器はナブアシストの製品を使用する。