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22/12/20

宅配の再配達率、前年同月比でほぼ横ばい

 国土交通省によると、大手宅配3社が10月に調査対象エリアで配達した宅配便のうち、再配達の割合は前年同月比0・1ポイント減の11・8%だった。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年10月調査より3・2ポイント低く、国交省は「再配達削減策が国民に浸透してきた」としている。
 調査はヤマト運輸、佐川急便、日本郵便から、都市部(東京23区)、都市部近郊(都内の市)、地方(人口密度の低い都道府県の市)の配達データを聞き、集計した。
 3社が対象エリアで配送した計260万1800個のうち、30万7511個が再配達だった。最も減少したのは地方で、同0・5ポイント減の9・9%。次いで都市部近郊が同0・1ポイント減の11・2%だった。一方、都市部は13・0%と前年の同じ月と変わらなかった。
 「今年は緊急事態宣言の発出がなく、外出しやすい環境だった。その中で、新型コロナ前の調査の15・0%より低かったのは、宅配ロッカーをはじめとする多様な受け取り方が消費者に浸透し、一定の成果を得られたのではないか」(国交省)。
 国交省が2014年12月データを基に行った労働損失の計算を参考に、本紙が労働損失を試算したところ、再配達に費やした宅配ドライバーの労働時間は5975万時間で、約2万9900人分の労働損失に相当。昨年の同じ時期(4万6060人)の6割強だった。

手引き活用し削減策普及へ

 一方、昨年6月に閣議決定した総合物流施策大綱で、政府は25年度までに再配達率を7・5%程度にする目標を設定している。現状について、国交省は「17年10月の調査以来、最も低かった8・5%より少なく、厳しい値」とする。
 3月に発行した再配達削減策をまとめた手引を活用しながら、通販会社、不動産会社、住宅管理会社、消費者に再配達防止の取り組みを普及させ、さらなる削減を目指したい考え。