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22/12/05

自動点呼、国交省が機器認定の要件案示す

来年1月にも乗務後に限り、導入を認める自動点呼機器(写真はイメージ)

 人の代わりにロボットが点呼を行う「自動点呼」について、国土交通省は点呼機器を認定する際の要件案を示した。事前登録したドライバー以外が点呼を行えないよう生体認証機能を持たせたり、正しく使ってもらうために説明書を提供し、説明したりすることなどを要件とする。年内にも正式決定した上で、来年1月から乗務後に限り、新たな点呼制度を開始する。
 国交省は対面と同等の確実性が担保できることを前提に、まず「乗務後のみ」の条件付きで自動点呼を導入する。運送企業が実施するには、前もって地方運輸支局に届け出を行った上で、国の認定した点呼機器を使い、国の定めるルールを守りながら運用する必要がある。11月24日から開始したパブリックコメント(意見公募)で要件案を示した。
 点呼機器については、機能と体制で具体的な要件を定める。例えば、機能では成りすましを防ぐため、事前に登録されたドライバー以外が点呼を受けることができないよう、個人を確実に識別できる生体認証機能を持たせることを明記。アルコール検知器の測定結果や測定の様子は静止画や動画で自動で記録・保存し、酒気帯びが検知された場合は運行管理者に警報・通知して、点呼を完了させない機能があることも要件とする。

故障時は電子的方法で記録

 この他、点呼機器が故障がした場合、故障発生日や時間、故障内容を電磁的方法で記録して1年間保持することに加え、電磁的方法で記録された点呼結果や、故障記録の修正ができないものであることなども定める。
 また体制では、メーカーに対し、点呼機器を正しく使用するために必要な機能、使用方法や条件、注意事項を書いた説明書を提供し、説明することを要件に設定。不具合への修理体制を整えることや、不具合情報をユーザーから収集して必要な改善を行う体制を整えることなども求める。
 一方、運送企業には不正防止のため、点呼場所に監視カメラを備え、ドライバーの全身の様子を運行管理者が明確に確認できるようにする環境を整備させる。実施に当たっては、自動点呼の運用に必要な事項を前もって運行管理規程に記載し、関係者全員に周知することなども求めていく。
 点呼を巡っては、未実施の運送企業が一定数存在するとともに、運行管理者の長時間労働、残業増加につながるといった課題が指摘されてきた。
 運行管理者の負担軽減と安全運行を支える点呼の徹底を図るため、2019年度から先行的に点呼支援ロボットを扱ってきた日本貨物運送協同組合連合会の村田省蔵専務理事は、「自動点呼機器の導入で確実に点呼が実施され、安全運行の徹底と事故・飲酒運転の防止につながることが期待できる。年明けから検討が始まる乗務前自動点呼実施にも弾みが付く」としている。