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22/11/07

22年版過労死白書、「荷主要因」問題視

 10月に公表された「2022年版過労死等防止対策白書」は、トラック運送業の概況として、依然荷主からの厳しい要請への対応、荷主都合の長時間の荷待ちが一因となり、トラックドライバーが長時間労働を余儀なくされていると指摘。21年度の脳・心臓疾患の労災支給決定件数172件のうち53件がトラックドライバーに関連し改善は急務だとして、荷主との取引関係の在り方も含めた改善を図る必要性を改めて示した。
 白書はトラック運送業の概況として、コストに見合った適正な運賃が十分に収受できない中、ジャスト・イン・タイム納品を求められるなど発注者である荷主の厳しい要請に対応している実態を例示。国土交通省による20年のトラック輸送状況の実態調査では、1回の運行で拘束時間が13時間を超える割合が全体の14%、また運行全体の24%で荷待ち時間が生じ、うち2時間を超える荷待ちが18%に上ったとした。
 今年6月に全国35都道府県で行われた一斉電話相談活動では、ドライバーの家族から「長時間労働・不規則勤務が続いていたところ、未経験の業務に異動となり、心理的負荷を蓄積させた。労災申請をしたい」といった相談が寄せられたことも紹介している。