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22/11/01

国交省、将来的な自動運転見据え冬ごろ安全策まとめへ

 将来的に運送事業で自動運転の活用が本格化するのを見据え、国土交通省は冬ごろにも、安全策の在り方をまとめる。自動運転車を使用しても、ドライバーが存在する場合と同等の安全を確保できるようルールを策定する。また、自動運転車の運行監視や非常時対応などを外部企業に委託する際についても、運送企業の責任を定める。
 検討は、特定条件下で完全自動運転ができる自動運転「レベル4」の公道走行許可を盛り込んだ改正道路交通法が、来年4月に施行されることを見据えたもの。改正道交法では、ドライバーのいない自動運転を「特定自動運行」と定義し、運送企業などがサービスを始める場合、都道府県の公安委員会の許可が必要となる。運行中は決められた装置で遠隔監視する「特定自動運行主任者」の配置も義務付ける。
 自動運転車を使う場合も、運送企業はこれまでと変わらず輸送の安全確保が求められるため、国交省は6月に設置した有識者検討会で、具体的に講ずべき内容の議論を始めた。10月20日の検討会では、貨物・旅客の運送企業や自動車メーカー、自動運転サービス企業など30社に行ったヒアリングを基に、これからの議論の考え方を示した。

自動運行従事者の設置検討

 今後は2つの論点に分けて検討する。1つ目はドライバーが不在となる自動運転車で事業を行う場合、運行前の日常点検、点呼報告など「運転操作以外」の業務をどのように行い、従来と同じ水準の輸送安全を確保するかを話し合う。
 具体的には、運転操作以外の業務を担う人を「自動運行従事者」(仮称)と法令で位置付け、運送企業の責任の下、運行管理者から業務内容の指示を受ける仕組みを検討する。自動運行従事者が、車に乗車するか否かの判断を企業に任せていいかや、どのようなケースで酒気帯び確認、自動運転免許の保持が必要になるかも確認する。
 トラック運送は、貨物の積載が安全に大きな影響を与えることから、この対策についても検討。自動運行従事者に偏荷重が起きない積載を求めることや、運送企業に荷崩れが起きた際も対応できるよう、遠隔から積み荷を確認する設備を設置させるかも議論する。
 また、もう1つの論点となるのが、運送企業の責任の在り方。自動運転では、運行の監視や非常時対応の業務を、例えば保険や警備会社など、運送以外の企業が担う可能性が想定される。
 一方、業務を外部委託しても、運送事業は許可を受けた企業が責任を持って実施しなければならない。このため、遠隔地での業務に必要な設備を設け、運送企業に運行状況を適切に把握させることや、何らかのトラブルで判断が必要な場合は、委託企業に必ず運送企業の指示を仰がせることなどのルールを検討する。