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22/10/25

標準的な運賃、4割強が原価計算未実施

 標準的な運賃の活用に当たり、自社運賃の原価計算を実施している運送企業が半数程度にとどまっていることが、国土交通省の分析で分かった。荷主に標準的な運賃を考慮した自社運賃を提示し交渉した企業も3割強で、運送各社で取り組みを広げるには、さらなる対策が必要になりそうだ。
 調査は3月、国交省の委託を受けた調査会社が運送企業に実施。同省は標準的な運賃の届け出を行うまでに、①制度の理解②自社での運賃計算③荷主との交渉④運賃の事後届け出――の4つの過程があることを踏まえ、状況を分析した。
 標準的な運賃の理解については、33%が金額や原価計算の方法など「全て理解している」と回答。「金額のみ理解している」とした企業は43%、「名称のみを知っている・聞いたことがある」とした企業は20%だった。

全ト協などと周知徹底継続

 一方、標準的な運賃を活用する上で重要となる自社運賃の原価計算に関しては、「未実施」の回答が全体の47%を占め、課題が浮き彫りとなった。「実施済み」は32%、「計算中」は21%だった。今月18日に開かれたトラックの取引環境と労働環境改善を検討する中央協議会では、委員から「原価計算ができないと荷主との交渉もできないのではないか」との指摘も。国交省も同様の認識を持っており、全日本トラック協会と協力しながら周知していくとした。
 荷主との交渉は、「標準的な運賃を提示して交渉した」企業が17%、「標準的な運賃を考慮した自社運賃を提示して交渉した」企業が35%だった。このうち、「荷主から一定の理解を得られた」企業は33%。25%は「理解を得られなかった」と回答した。「交渉中」は40%だった。
 また全国の標準的な運賃の届け出率が8月末時点で49・9%にとどまっていることを受け、18日の中央協議会では、委員から「届け出率の低いエリアではトラック協会非会員が多く、行政の取り組みを徹底してほしい」との指摘もあった。国交省はホワイト物流推進運動セミナーなどを通じ、荷主への周知・浸透を図っていく方針だ。