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22/10/11

21年トラック事故、全体の3割以上占める軽貨物車の対策急務

 トラック業界で軽貨物自動車の事故が顕在化している。2021年は4616件発生し、トラック事故全体の32・9%を占めた。軽貨物がトラック事故増加の原因となっており、早急な対策が必要になりそうだ。
 国交省が警察庁の交通統計を分析したところ、21年のトラックの交通事故は前年比3・9%増の1万4031件。乗り合いバスや貸し切りバス、タクシーの事故が減少する中、トラックだけが前年を上回った。
 軽貨物自動車がトラック全体の事故件数を押し上げた。この数年、軽貨物の事故は3000件台後半で推移し、20年に4000件台を超えていた。21年は「軽貨物の事故が増加したのに対し、それ以外は減少傾向にあった」と国交省。原因として、同省は新型コロナウイルス感染拡大によるEC需要の急増が影響しているのではないかと分析している。

飲酒運転も目標達成未達に

 軽貨物自動車の事故累計を見ると、大半は「他車との事故」で、21年は全体の88・0%を占めた。「人との事故」も増加基調にあり、20年までは400件台で推移していたのに対し、21は500件を超えた。類型別の事故件数の内訳は「追突」が最多の1357件。「出会い頭衝突」が1295件、「すれ違い・左折・右折時衝突」が668件と続いた。
 一方、トラック業界では飲酒運転事故も高止まりしており、21年は前年比11・1%減の32件が発生。21~25年度が計画期間の事業用自動車総合安全プランでは、飲酒運転ゼロを掲げているが、初年度は目標を達成できなかった。他モードでは、タクシーが3件、乗り合いと貸し切りバスがゼロだった。
 飲酒運転根絶に向け、国交省は特にアルコール依存症対策を強化する考えで、企業がドライバーの指導・監督で使うマニュアルの内容改定や、優良事例の横展開などを進めていく。9月30日開催の安全プランをフォローアップする有識者検討委員会では、全日本トラック協会も飲酒運転で独自の対策を報告した。