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22/09/05

厚労省、一人親方の安全対策検討で各業界にヒアリング

 厚生労働省は個人事業主の安全衛生対策を検討している。運送業や建設業、製造業などで働く「一人親方」の労働災害が発生する中、個人事業主自身や業務発注者の対策を打ち出す。8月22日の有識者検討会では、運送業の現状を把握するため、全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会にヒアリングを行った。
 個人事業主の対策検討は、アスベスト被害を巡る最高裁判決を受けたもの。昨年5月の判決で、企業が雇用する労働者だけでなく、一人親方も安全対策の保護対象と判断されたことから、厚労省は安全衛生法に関わる11の省令を改正。企業に対し、労働者と同様に一人親方も保護措置を講じることを義務付けた。
 4月の改正省令の交付を受け、厚労省は5月から、危険有害作業に携わる個人事業主の安全衛生対策の検討を開始。各業界での労災発生状況や安全の取り組みをヒアリングしつつ、一人親方の保護措置の在り方や、発注者にどんな対策を講じさせるかなどをまとめる。

個人事業主への指導に質問

 22日のヒアリングに出席した赤帽は、組合員の就労状況や労災発生件数を報告するとともに、安全と健康をテーマとした研修会、改善基準告示の啓発活動について説明。安全衛生管理の課題では個人事業主向け労災保険の保険料が高く、組合全体で2割超の加入にとどまることを挙げ、国策による支援を求めた。
 一方、委員からは個人事業主の日々の運行管理や安全対策への質問が集中した。組合として加盟する個人事業主への指導を行っているのかとの質問には、「規則に抵触する場合は指導するが、個人事業主のため、本部として命令はできない」と答えた。指導後の確認についても「組合から仕事を委託する場合は連続して長距離運行させないなど管理しているが、個人で顧客を持つ場合は把握できていない」とした。