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22/08/08

国交省・貨物鉄道中間まとめ案、輸送増やトラと連携へ

 国土交通省は7月28日に開催した鉄道物流の在り方を議論する有識者検討会で輸送量増加、トラックや船との連携、荷主の意識改革といった課題解決に向け、中間取りまとめ案を提示した。
 鉄道物流は台風や豪雨災害に伴う線路の寸断などが相次ぎ、2018年度以降、輸送量が伸び悩んでいた。一方、24年4月から適用されるトラックドライバーの残業上限規制や、脱炭素化の対応が課題となる中、重要な役割を果たすため今後の在り方を検討していた。
 中間まとめ案の柱は3つで、貨物鉄道の競争力強化、他の輸送方法との連携、社会・荷主の意識改革。具体的にはニーズの取り込みや災害対策強化、パレット化、利用増に向けた新制度の創設など14の課題を盛り込んだ=表。
 各課題の取り組みの方向性も明記した。例えば、ニーズの取り込みに向けては、積載率の高さで運賃を変動させるダイナミックプライシング(価格変動制)の活用を記載。災害対策ではコンテナの現在地やトラック・船といった代行輸送の手配状況などの迅速な提供、パレット化では貸し出しや返却がしやすいよう貨物駅でのデポ併設を盛り込んだ。

半年ごとに達成状況を確認

 利用増に向けた新制度では、エネルギー使用量や二酸化炭素排出量を算定できる仕組み構築とESG(環境・社会・企業統治)投資の判断基準への活用を示した。
 案は委員から了承を得られたため、JR貨物は今後、課題についてKGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)を設定する。国が同検討会などを通じて達成状況を半年ごとに確認し、結果を公表する。さらに国が来年度まで同社へ行う支援措置138億円も活用し、JR貨物は取り組みを主体的に推進する。
 7月28日の検討会で、JR貨物の篠部武嗣取締役兼常務執行役員経営統括本部長は「特に(災害の)予防保全、BCP(事業継続計画)対策を通じて、揺らいでいる貨物鉄道輸送の安定性、信頼性を回復することは急務。関係者と共にしっかりと取り組みたい」とした。