• 行政・業界団体

22/07/25

改善基準告示、労使意見拘束時間など主要項目でなお隔たり

 トラックの新たな改善基準告示を巡り、労働者と使用者の代表委員で意見が割れている。厚生労働省は20日の作業部会で、見直しに向けた考え方を示したが、拘束時間や休息期間、連続運転時間などの主要テーマで折り合わなかった。同省は今夏をめどに結論を出す計画を立てており、次回会合でどこまで妥結できるかが焦点になりそうだ。
 厚労省はトラックの改善基準告示を話し合う作業部会で、これまでの検討を基に見直しの考え方を示し、労使代表委員の要望を改めて確認した。
 拘束時間に関し、使用者側は月284時間とし、長距離運行があることから、年3408時間を超えない範囲で年6回を限度に320時間まで延長してほしいと要望。320時間が難しい場合、残業時間を脳・心臓疾患の労災認定基準の単月100時間未満に抑えることを前提に、長距離と近・中距離に分けて拘束時間を考えることを求めた。

125時間の扱いが焦点に

 労使協定を前提に年6回を限度に月320時間まで延長できる現行の特例は、法定労働時間と休憩時間を合わせた195時間と、残業時間125時間の合算を基にしている。使用者側は残業中も食事、トイレなどの休憩があることを説明した上で、「125時間全てを働かせようとするわけではない。125時間は100時間未満と考えてはどうか」と提案した。
 一方、大学教授の委員から「125時間全て労働時間ではないが、(休憩時間でない)企業もあるのではないか」との指摘があり、使用者側は配車段階で休憩の指示を出していると答えた。労働者側は脳・心臓疾患の労災支給決定件数の割合の高さや、過去2回の実態調査を踏まえ、拘束時間は月275時間とし、年3300時間を超えない範囲で年6回を限度に294時間とすることを主張した。
 また1日の拘束時間について、使用者側は13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合も平均で15時間とすることを要望。15時間超える場合は、原則1日16時間超えないものとすることという文言を加える案を示した。

 休息期間は、継続11時間以上与えるように努めることを基本とし、平均で継続9時間を下回らないものとすることを提案。継続9時間を下回る場合も「原則1日8時間を下回らないように努めるものとするとの文言を入れれば、下回ることはないだろう」とした。
 労働者側はバス・タクシーと同じく11時間を中心に検討する必要があると指摘。「特に睡眠時間は脳・心臓疾患の労災認定基準の裏付けで重要視したい」とし、基準を超える内容は受け入れられないとした。
 連続運転時間については、4時間を超えないよう努めることを基本とし、5時間は超えないものとするのが使用者側の主張で、運転離脱は5分以上の計30分を求めた。これに対し、労働者側が求めたのは連続運転を4時間とし、休憩は10分以上で計30分を主張。高速道路の休憩施設に入れない場合は4時間半に見直し、休憩45分とする案を示した。運転離脱は「ハンドル離脱でなくブレイク(休憩)にこだわる」と強調した。