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22/07/25
詳報・CJPT、商用EMSの社会実験で電動車580台を福島や東京で投入
コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(=CJPT、本社・東京、中嶋裕樹社長)は2023年1月、プロジェクト参画企業と共に福島、東京で商用電動車約580台を導入し、運行管理システムと連携したエネルギー管理システム(EMS)の大規模実証を開始する。EMSでは、分単位で届け先への最適ルートを提案。充電・水素充てんによる稼働ロスや、充電タイミングの偏りによる最大電力の増加を抑制し、走行費用の削減にもつなげる。 (輸送経済共同取材班)
実証期間は23年1月~30年3月。福島、東京でのエリア配送、東北―関東―関西間の幹線輸送に電動車約580台を投じる。内訳は、FC(燃料電池)トラックが大型・小型計約300台、EV(電気自動車)小型トラックが約210台、EV商用軽バンが約70台。
参画企業はCJPTに出資するいすゞ自動車、日野自動車、スズキ、ダイハツ工業、トヨタ自動車の5社に加え、荷主では飲料、コンビニ大手やアマゾンジャパン、ヨークベニマル、物流企業では佐川急便、西濃運輸、日本通運、日本郵便、磐栄運送、日立物流、福山通運、ヤマト運輸、インフラ企業では岩谷産業、エネオス、東京ガスなどが参画する。
効率化と運用最適化つなげ
脱炭素に向けた商用車の電動化には、高い車両購入費用、水素充てん施設までの移動、充電タイミングの偏りによる事業所の契約電力量増加といった軽油・ガソリン車にはなかったコスト増や稼働ロスが想定される。社会的には、電力需要増加に伴う送配電設備増強、水素充てん施設にかかる費用増が見込まれる。
運行管理と一体となったEMSにより、渋滞回避を含む輸配送の効率化をはじめ、どこで・どのタイミングでといった充電・水素充てん計画の最適化、電力需要の平準化など電動化に伴う新たな課題にも対応する。
EMSでは、コネクテッドデータに基づく乗用車、商用車、一部軽を含む膨大な交通流データを活用する。1分に約1回の頻度でリアルタイムに交通流データを反映し、最適ルートの提案で輸配送のムダを削減。走行費用の削減を図る。電動車はフルメンテナンスリースによる導入となるもよう。EMSは収集データに応じて安全に役立つルートの提案も見据えており、実証では無償で提供する。
いすゞ、トヨタ、日野自、CJPTの4社は同実証で活用するFC小型トラックを共同開発し、23年1月以降に市場投入する。またスズキ、ダイハツ、トヨタ、CJPTの4社はEV商用軽バンを23年度の導入に向けて共同開発し、同実証での活用に充てる。
同実証と併せ、福島県とトヨタが23年1月に開始する実証にはイオン東北も参画。FC小型トラック約60台を導入し、コンビニやスーパーへの配送でEMSを構築する。