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22/07/06

物流DX、複雑化した既存システムと人材不足がボトルネック

 物流業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)は他業界と同様に推進されているものの、複雑化した既存システムと人材不足がボトルネックになっているーー。ソフトウェアのテスト・品質保証を手掛けるSHIFT(本社・東京、丹下大社長)のアンケート調査で、物流DXの現状と課題が明らかになった。
 DX推進について、56%の企業が「取り組みが完了した」「現在取り組んでいる」「取り組む予定がある」と回答した=グラフ1。情報処理推進機構が2021年に行った業界横断の調査でも、日本でDX推進に取り組んでいる企業の割合は約56%。物流業界は国内の他業界に遅れることなくDXを進めている。

 ただし、物流DXは既存の物流システムの複雑さに加え、保守性や人材不足にも課題があるようだ。DXを推進する上での課題を聞いたところ「IT(情報技術)人材が足りない」「DX推進にノウハウをもった人材がいない、少ない」「推進できる体制がない」の回答が合わせて57%を占めた=グラフ2

 基幹システムの状況を聞くと「レガシーシステムがボトルネックになっている」「既存システムの運用に手一杯」の回答が合わせて27%にのぼった。取引データの「商流」とモノの流れの「物流」を連携するために、基幹システムが複雑化しやすい傾向にあるようだ。
人手不足などの課題解消に向け、クラウドやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)などの最新技術を導入・検討している企業も多い=グラフ3。ただし、基幹システムが複雑化していると全体最適は困難で、SHIFTは「さらなるシステムの複雑化を招き、管理コストが増大する懸念がある」と指摘している。

 調査は21年12月、インターネットで実施。物流業界の企業役職者420人の回答をまとめた。