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22/06/21

改善基準作業部会、予定ずれ込む公算大きく結論「夏ごろめど」に

14日の会合でも労使間の検討が難航した

 トラックの改善基準告示の見直しについて、最終的な結論を出す時期がずれ込む可能性が出てきた。当初、厚生労働省は7月ごろを予定していたが、「夏ごろをめど」で考えているようだ。有識者作業部会で労働者と使用者の検討が難航しているためで、今後のスケジュールは見えていない。
 新たな改善基準告示では、バス、ハイヤー・タクシーがすでに見直しの方向性を示している。トラックはドライバーの労働実態を把握する調査を他業種より1年長く実施したことから、検討の着手が遅れていた。厚労省が当初示したスケジュールでは、7月ごろに作業部会で意見をまとめ、年内をめどに改正改善基準告示を公布する計画を立てていた。
 一方で、労使間の検討は難航している。このため、厚労省も「検討の状況を踏まえると、7月ごろとしていたスケジュールが夏ごろをめどに変わる可能性がある」とし、予定がずれ込むことを考慮しているようだ。
 14日開催の作業部会でも、改善基準告示の考え方で労使間の意見が分かれた。年間の拘束時間については、運送企業の扱う貨物業種で拘束時間が異なることや繁忙期を理由に、使用者代表が年6回を上限に320時間を求めたのに対し、労働者代表は脳・心臓疾患事案の多さなどから、反対の意見を述べた。

労使間で意見分かれる

 また1日の最大拘束時間を2日平均で15時間とし、休息期間を2日平均で9時間とする使用者側の案についても、労働者側は難色を示した。使用者側は「今回は考え方を示した。長時間の荷待ちがあった場合など、今後事例ごとのルールをつくりたい」としたのに対し、労働者側は1日の休息期間はバス、タクシーと同じく「11時間とすることにこだわる」と主張。ドライバーの睡眠時間を考慮した検討が必要になることも強調した。
 この他、使用者側が現行4時間の連続運転時間を「5時間を超えないものとする」とし、運転離脱を「5分以上」とすることを要望したが、ドライバーの休憩確保などの点から、いずれも労働者側と折り合わなかった。
 労使間での意見が分かれる中、労働者側からは「次回は具体的な数字の入ったたたき台を示してほしい」との注文も。今後も複数回の検討を重ねるとみられ、夏ごろをめどに結論を出せるかが焦点になりそうだ。