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22/06/13

厚労省、カゴ台車・テールゲートリフターの安全教育義務化を検討

 厚生労働省は、カゴ台車とテールゲートリフターを安全に取り扱うための教育の義務化を検討している。カゴ台車の不適切な取り扱いによる死傷災害が多発し、そのうち2割がテールゲートリフターの使用時に起きている実態に対応。労働安全衛生法が定める特別教育の対象に、カゴ台車とテールゲートリフターを新たに適用したい考えだ。
 2020年、カゴ台車の取り扱い中に発生した休業4日以上の死傷災害は約1000件。うち83・9%が、最大積載量を超えた荷物を載せるなど不適切な取り扱いが原因で、骨折など休業1カ月以上のけがにつながったケースも少なくない。 カゴ台車の不適切な取り扱いによる死傷災害のうち約2割はテールゲートリフターの利用時に発生。カゴ台車の輪止めをせずテールゲートリフターで昇降するといった原因の事故も多発している。
 カゴ台車やテールゲートリフターを使用する物流企業には、事故防止へ適切な取り扱いを徹底するための教育が求められる。陸上貨物運送事業労働災害防止協会が今年3月に物流各社に行ったアンケートによると、カゴ台車では65%、テールゲートリフターでは75%の企業が、取り扱いに関する安全衛生教育を行っていると回答。だが、1時間以内の短時間の実施が多いことも明らかになり、教育が不十分な実態が浮上した。

議論に荷主巻き込む必要も

 厚労省は対策として、危険、または有害にさらされ得る業務に従業員を就かせる際、安全と衛生を保つために企業が行うべき特別教育の対象に、カゴ台車とテールゲートリフターを適用する考え。学科と実技からなる教育カリキュラム案=表=を作成し、5月29日に開いた荷役労災防止策の検討会で議論した。
 特別教育は、各企業の責任で事業場内で行うことを大原則とし、受講者や科目などの記録を3年間保存することが義務付けられている。講師は、特に資格要件を定めていないが、十分な知識や経験を持つ人が求められる。
 5月の検討会で、関係者からは「特別教育は業種を指定するものではなく、カゴ台車を所有する荷主も対象。横展開を考える必要がある」といった意見が上がった。テールゲートリフターも、プロパンガスなど危険物の荷役に使われ、他業種も関わる。教育の義務化へ、荷主や物流以外の関係者を巻き込んだ議論を進めることになりそうだ。