• 物流企業
  • 注目

22/06/10

セイノーHD×ラクスル、ハコベル事業を法人化し共同出資

 セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市、田口義隆社長)とラクスル(同・東京、松本恭攝社長兼CEO)は8月、物流プラットフォーム(基盤)会社を共同で設立する。ラクスルの社内で物流関連事業を行うハコベルを法人化し、セイノーHDが共同出資。誰もが使える物流のオープンプラットフォームに育てあげ、日本の物流が抱える構造的な課題の解決に挑む。
 会社の設立は8月1日。出資比率は、セイノーHDが50・1%、ラクスルが49・9%を出資する。CEOには、ハコベル事業本部長を努めるラクスルの狭間健志氏が就任予定。当面はこれまでと同じく、荷物とトラックのマッチング事業「ハコベル」と荷主に対する配送計画最適化支援の「ハコベルコネクト」の2事業を行う。

 

「オープンな基盤を構築し、日本の物流全体を改革したい」と田口社長

 セイノーは、輸送立国を理念に掲げ、物流の最適化などを企業の垣根を越えて推進してきた。ラクスルは、利用者と提供者をスムーズにつなぐことに着目し、印刷業や物流、広告業界での効率化を推進中。田口社長と松本社長が勉強会などを通じて交流を重ねる内に、お互いの理念が一致し今回の協業に至った。田口社長は、「セイノーグループも輸送力を提供するピースの一つとして、利用者に活用してもらえる立場。個社の利益でなく業界全体の最適化につながる取り組みとして進めたい」とする。

「磨き上げたシステムをセイノーHDのインフラと掛け合わせ物流改革を加速したい」と松本社長

 ハコベルは、ラストワンマイルや輸配送を支えるマッチング事業を進める中で「システムは良いものができつつあるが、広がりの面で課題を抱えていた」(松本社長)。理念に掲げる「仕組みが変われば世界をもっと良くなる」を実現するには、さらなる広がりが必要。セイノーHDの持つ物流インフラやノウハウと、ハコベルの磨いたシステム力を掛け合わせることで、「物流業界を変えていきたい」(同)とする。

「業界・企業の垣根を越えた共創・共生の輪をつくりたい」と狭間執行役員

 2024年に控えたドライバーの労働時間規制や、人口減少による地域の縮小など物流業界が抱える課題は多い。両社は、「まずトラックに4割しか積載していないという空気を運ぶ状況を是正し、効率を高めれば既存の物流インフラでももっと運べる」(田口社長)状況を創出する。その上で、IT(情報技術)を使って、「業界・企業を越えたオープンなプラットフォームを構築し、より多くの企業に参加してもらい業界を変えていきたい」(松本社長)。
 今後、自社のプラットフォームと他社のプラットフォームの連携も計画。ユーザー目線で使いやすいシステムを構築し、数年後に数百億円の売上高を目指す。

オープンプラットフォームの構築を通じて「輸送立国」を実現する