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22/05/31

改善基準告示、労使作業部会の議論で休憩巡り意見ぶつかる

 厚生労働省は19日、トラックの改善基準告示を検討する作業部会を開き、労働者と使用者代表から意見の聞き取りを行った。このうち、労働者側が改善基準告示で労働基準法上の休憩概念を明記することを求めたことについては、使用者との間で意見が分かれた。
 改善基準告示では、連続運転時間は4時間以内とし、1回連続10分以上、かつ合計30分以上の「運転離脱」が必要と定めている。労働者側はこの間、ドライバーが休憩せずに荷積み荷降ろしなどの業務を含む運行があるとし、新たな告示で労基法上の休憩の概念を明記するよう求めていた。
 これに対し、使用者側は「トラックドライバーだけに休憩の概念を明記することはおかしくないか」と疑問を呈した。改善基準告示は労基法の下につくられており、労基法で記載されている休憩の定義を、改善基準告示に再度書き込む必要はないとし、他の労働者と同じ形で対応すればいいとした。

厚労省は合意前提に対応案

 一方で、労働者側は「運転離脱中に必ず休憩を取らなければならないと書かれているわけではなく、(休憩を取らずに仕事をさせる)運行ができてしまうことが問題だ」と主張。ドライバーは労基法より改善基準告示を優先する傾向がある点を指摘した上で、「皆に休憩を取らなければならないことを分かってもらわなければならない」とし、行政による通達なども含め、踏み込んだ対策が必要とした。
 労使間の意見ついて、厚労省は「(現行の改善基準告示には)休憩と表記しておらず、概念の混乱を助長しているかもしれない」と説明。労使間の合意を前提に、改善基準告示の規程で休憩の説明を盛り込んだり、通達やリーフレットで啓発したりすることは対応できるとした。