• 物流企業

22/05/09

日立物流、米投資会社TOBに賛同

 日立物流(本社・東京、髙木宏明社長)は4月28日、米投資会社のKKRによるTOB(株式公開買い付け)に賛同することを決めた。親会社の日立製作所が日立物流の株式売却の意向を受けたもので、今後はKKRの投資経験、人的資源をM&A(企業の買収・合併)などに活用しながら、4月に始動した新中期経営計画を進める。
 買い付けはKKR関連のHTSKが9月下旬にTOBを実施し、日立物流は上場を廃止する。日立は保有する39・91%の全株式を日立物流の自己株式取得に応じて売却。その後、HTSKの親会社HTSKホールディングスの議決権株式の10%取得する。
 日立は近年、ITやデジタルを中心としたグループ再編を進め、日立物流の株式を売却する意向だった。これを受け、日立物流はパートナーの選定を行った結果、将来を含め評価が最も高かったことや、海外事業の強化・拡大に不可欠な投資経験が豊富で、人的資源・投資先企業のネットワーク活用が可能だったことなどを踏まえ、KKRによるTOBに賛同した。

 日立物流は2030年の目指す姿を定め、4月に始動した新中期計画の施策を達成する戦略として、国内外での積極的なM&Aを計画している。中谷康夫会長は同日の会見で、「(既にKKRと)具体的なターゲットを共有して検討を始めている」とし、「前中期計画から海外を伸ばしたかったが、伸ばしきれていなかった。KKRとパートナーシップを組むことは(目標の実現に向けて)大きな意義がある」とした。
 日立物流は現在、産業や流通分野、研究開発に加え、同社の輸送デジタルプラットフォーム(基盤)「SSCV」の外販などで日立と連携しており、今後も「脱炭素化の取り組みも含め、これからも多方面でやっていく」(佐藤清輝専務)とした。