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22/04/05

視野障害対策、ドライバー700人対象に眼科健診推進へ調査

 国土交通省は今年度から、ドライバーの緑内障を含む視野障害対策として眼科健診のモデル事業を実施する。商用車のドライバーにモニターとして受診してもらい、その後の状況を調査するもので、眼科健診の推進につなげる。
 緑内障は高齢になると発症率が高まる。見える範囲が狭まるなど症状が表れても、視力は維持されるため、無自覚なまま運転を続け事故につながる恐れがある。国交省は事業用自動車総合安全プラン2025で、視野障害対策を中長期的に行うべき取り組みと位置付けている。
 今年度のモデル事業対象者はトラック・バス・タクシー合わせて700人。眼科健診を希望する3業態の企業からモニターとなるドライバーを選定した。来年度と再来年度も実施し、対象は3業態合計で各年度約1000人を想定している。
 モデル事業では眼科での視力・眼圧・眼底検査受診から、その後の発症の有無、治療状況、事故発生の有無、各社の勤務制限などの対応を調査。2年間の追跡調査も行う。調査協力費は1人5000円。有所見と疑われる人には、視野検査も有償で受診してもらう。
 国交省は3月29日、視野障害対策に関わるマニュアルを公表した=表。ドライバーへの理解促進策、眼科健診の受診とその後の各社の対応、視野障害に関する注意すべき症状などを盛り込んだ。将来的に、モデル事業で得られた各社の対策などの好事例をマニュアルに加筆する考えで、運送会社へ眼科健診を活用した健康確保策を周知する。

早期の発見と治療重要

 国交省の谷合隆安全政策課長は25日の専門紙共同インタビューで、「視野障害が自動車運転時のリスクとなることを(モデル事業で)運送会社とドライバーに認識してもらい、眼科健診の受診で早期発見し、早めに治療してもらうことが重要」とした。