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22/03/04

厚労省・改善基準告示見直しの作業部会、具体的進展見えず

 厚生労働省は3月4日、改善基準告示の改正を議論する有識者作業部会を開き、労働者と使用者の代表が意見交換した。改善基準告示の順守には、荷主との取引慣行見直しが必要との意見では一致したが、告示の具体的な見直しで進展はなかった。
 作業部会では、拘束時間、休息期間、運転時間・連続運転時間、特例、例外的な取り扱いで労使の意見を確認。労働者側は働き方改革関連法の主旨や、道路貨物運送業で過労死の労災請求件数が最多だったことを踏まえ、「(労使間で)溝はあるが、早めに着地点を見いだしたい。厚労省もたたき台を出してほしい」とした。
 改正案では、月の拘束時間を275時間とし、年3300時間を超えない範囲で、年6回を限度に294時間まで延長することを改めて提案。1日の休息期間はバス、タクシーと同じく11時間に、運転時間と連続運転時間は現行通りにするよう求めた。荷主都合による遅延を例外的な取り扱いとすることは、全ての規制が骨抜きになりかねないと反対した。
 これに対し、使用者側は過労死防止などの見直しの背景を理解しているとした上で、「取引慣行を変える必要がある。荷主も含め、全ての関係者に働き掛けていかなければ改善基準見直しの実効性は伴わない」と指摘。運送企業に乗務記録への記載を義務付けている荷待ち時間、契約にない荷役や付帯作業を基に、労働基準監督署が荷主を監査した際、実態を確認することなどを求めた。
 具体的な見直し案については、月の拘束時間の場合、293時間を維持し、年3408時間を超えない範囲で年6回を限度に320時間まで延長するよう要望。休息期間は8時間の現行を維持するとともに、運転時間は拘束時間や休息期間を定めるのであれば、廃止するべきとした。
 この他、見直しでは歴日で24時間としている休日の扱いを、実質の24時間にしてほしいと要望。拘束時間も深夜0時をまたぐ場合、1日目と2日目でダブルカウントされることから、休息期間をしっかり取ることを前提に、1日目の算入を見直すよう求めた。フェリー乗船前の駐車場での待機時間も休息期間に組み込んでほしいとした。
 同日の作業部会は、労使の意見交換が中心で、具体的な内容に踏み込むことはなかった。厚労省は引き続き意見交換を行いながら、改正案のたたき台を検討する方針。