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22/02/01

改善基準・連続運転時間、使用者側は柔軟運用求める

 改善基準告示見直しの焦点の一つだった連続運転時間。1月21日に開催したトラックの作業部会で、使用者側は高速道路、地方のコンビニでの休憩が取りづらいことを例示し柔軟な運用を求め、労働者側も高速での休憩は検討の余地があるとした。一方、1日の最大拘束時間・休息期間は労使の意見が合わなかった。
 現行の改善基準の連続運転時間は4時間。だが、長距離運行では、高速のサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)で休憩が予定通りに取れず、別のSA、PAに向かうケースや、フルトレーラー用駐車ますが少ないという実態がある。地方では休憩による長時間駐車の遠慮を求めるコンビニが存在し、休憩場所を確保できない事情も。これらを踏まえ、21日の作業部会では、使用者側から「運用できるか懸念がある」との声が出た。
 連続運転時間は現行より1時間長い5時間、運転の中断を10分以上から5分以上に短縮するよう、使用者側から要望があった。

 労働者側は現行の連続運転時間の継続が妥当としたものの、「夜間にSA・PAが満車の際、次のSA・PAに移動する時間として30分程度は例外の連続運転時間として検討する余地がある」とした。運転の中断だけを順守させる企業への対応として、「労働基準法上の休憩の考え方を新しい改善基準には明記すべき」とも求めた。
 1日の最大拘束時間・休息期間は、労使の主張がかみ合わないのが現状。使用者側からは「宿泊を伴う運行は1日の最大拘束時間を18時間、休息期間は11時間以上に」との意見が上がった。これに対し、労働者側は「現行の改善基準を緩和することになる。過労防止の観点から受け入れられず、休息期間はバス、ハイヤー・タクシーと統一すべき」とした。

 ドライバーの脳・心臓疾患の実態、休息期間と睡眠時間の関連性については、詳細な調査・多様なデータ活用を求める声が労使から相次いだ。具体的には「厚生労働省から運行形態別の脳・心疾患の労働災害認定データが提供されれば、労働者が求める運行形態別の運用も検討の余地がある」「全日本トラック協会のデータの活用も議論では必要」というものだ。これを受け、厚労省も詳細なデータ提供を検討する。
 他にも荷主都合による遅延時の取り扱いなど、意見が合わなかった項目は複数あり、次回以降の作業部会で議論を続ける。