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22/01/24

改善基準の実態調査、乗務員の年間拘束時間7割が3300時間未満

 改善基準告示見直しに向け、厚生労働省が昨年10月ごろに行った実態調査で、年間の拘束時間は「3300時間未満」と回答した企業の割合が7割超に上ることが分かった=グラフ。議論の中で、労働者側が希望する3300時間以内を達成した企業が大半を占める。2度目の調査結果でも7割を超えたことで、トラック運送業界でのコンプライアンス(法令順守)の浸透ぶりが改めて示された形だ。
 今年度の調査はトラックのみ実施。対象期間は昨年3~9月の中で、運送各社に通常期と繁忙期を決めてもらった。運送会社は427営業所(回答率30・3%)から回答を得た。

労組側の主張既にクリアし

 調査対象の運送会社の96・5%は一般貨物。台数は20台以下~49台で7割超を占めた。8割以上で労働組合がなかった。ドライバーが主に乗車する車種は大型車が46・3%で最多。次いで中型車が33・8%だった。勤務形態は近・中距離運行が最も多く58・7%。年齢は40~59歳が6割超、経験年数10年以上が8割超。
 調査では、年間拘束時間を運送会社に尋ねた。「3300時間未満」と回答した営業所は、昨年度の調査より7・6ポイント増の78・3%に上った。昨年4月の専門委員会で、労働者側は原稿の年3516時間に対し過労死防止の観点から「休日労働込みで年3300時間」を要望したが、多くの企業で既に達成している様子がうかがえる。
 各営業所へ長距離ドライバーに絞って尋ねた調査でも、「年3300時間未満」が68・2%と大半を占めた。
 営業所の企業規模、地域、発荷主、車種、運行の結果で見ても「年3300時間未満」の回答はほとんどの項目で7割超で、7割を下回ったのは、地域で中国地方、発荷主で農水産品、化学製品、日用品だけだった。小型車や大型車では昨年度調査より10・0ポイント以上、「年3300時間未満」の回答が増えた。
 長距離ドライバーに絞った調査でも「年3300時間未満」が多くの項目で6割超となった。6割未満だったのは、地域で関東と近畿、発荷主で農水産品、飲食品、化学製品のみだった。
 厚生労働省は調査結果を基に、改善基準見直しの議論を続け、7月ごろに取りまとめる。年内をめどに新しい改善基準を公布し、2024年4月1日に施行する。