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21/12/21
倉庫税制、22年度改正大綱で2年間延長
自民、公明両党は10日、2022年度与党税制改正大綱を決定した。物流業界で焦点だった倉庫税制は、自動化・デジタル化につながる機器の導入を新たな要件に加えた上で、2年間延長する。税制特例の内容も見直され、5年間で10%だった倉庫などの割増償却が8%に引き下げられた。
倉庫税制は、改正物流総合効率化法の総合効率化計画の認定を受けた倉庫の税負担を軽減する特例措置。現行の制度は来年3月末に期限を迎えるため、国土交通省は認定計画の一部要件を見直した上で、特例措置の延長を目指していた。
改正物効法では、2者以上が連携し、特定流通業務施設を整備して輸送網を集約する際、立地や建物の構造、延べ床面積、トラック予約システム導入など、国が定める要件を満たせば特例措置を受けられる。立地では高速道路インターチェンジから5キロメートル以内、延べ床面積では平屋普通倉庫で3000平方メートル以上などの要件を定めている。
来年4月以降はこれらに加え、自動化・デジタル化につながる機器の導入を要件に加える。具体的には無人フォークリフト、AGV(無人搬送車)、自動倉庫、ピッキングロボット、自動検品システムが対象となる。
国交省は倉庫のDX(デジタルトランスフォーメーション)、人手不足が続く庫内作業員の働き方改革を目指しており、改正物効法の認定要件に省力化・省人化の施策を加えることで、作業の生産性向上や倉庫周辺のトラックの待機時間削減につなげたい考え。
一部の補助率は変更に
倉庫税制の見直しに合わせ、税制特例の内容も一部変更する。所得税・法人税の割増償却が対象で、現在の5年間で10%から8%に引き下げられる。倉庫の固定資産税・都市計画税の課税標準を5年間半額とするなどの措置は維持する。
来年度の与党税制改正大綱ではこの他、自動車重量税をクレジットカードで納付する制度の創設や、JR貨物が取得した新造車両の固定資産税を軽減する特例措置の延長を決定。自動車関係諸税については、中長期的な視点に立って、23年度税制改正大綱で抜本的な見直しの必要性を明記した。