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21/11/30

燃料費高騰、価格転嫁で行政が対策強化

 燃料価格高騰を受け、荷主などが価格転嫁に応じるよう、国が対策に乗り出している。公正取引委員会は11月24日、下請け企業への不当なしわ寄せを防止するための対策を改定し、取引の監督を強化する方針を示した。国土交通省も、荷主への適正運賃収受の周知や実態把握を進め、不当な価格の据え置きには、国交相による働き掛けなどを行っていく考えだ。
 下請けに原油価格高騰のしわ寄せが生じることを防ぐため、公取委が対策を打ち出した。具体的には、下請けが燃料コスト上昇を理由に単価引き上げを求められたにもかかわらず、業務の委託先が一方的に単価を据え置くことは、下請法で禁じる「買いたたき」の恐れがあるとの見解を提示。ホームページに考え方をQ&A形式で掲載し、関係者に周知した。
 物流については、来年1月以降、4万社を対象に書面調査を実施。荷主には10月8日、3万社に書面を送り、最低賃金の引き上げやエネルギーコスト上昇の影響を調査しており、物流企業にも同様の内容を聞いて情報を収集していく。独占禁止法で禁じる「優越的な地位の乱用」に該当する恐れのある荷主、元請けには改善を求める。

文書送付し荷主に周知徹底

 また燃料高騰分の適正収受に向けては、国交省も対策に乗り出している。11月には荷主団体に対し、燃料費の上昇分を反映した適正な運賃料金に見直すことや、一方的な価格の据え置きは国交相による働き掛け、荷主勧告制度の対象となることを明記した文書を送付。標準的な運賃の必要性をまとめたパンフレットなどと合わせ、適切に対応するよう周知している。
 取引実態の把握については、ホームページ上の専用窓口から情報収集を行い、法令違反の恐れのある荷主には、運送企業への配慮を要請していく方針だ。不当なしわ寄せの相談では、公取委も窓口を設けており、フリーダイヤルで受け付けている。問い合わせ先は不当なしわ寄せに関する下請相談窓口、電話0120(060)110。