• 行政・業界団体

21/11/17

新・改善基準告示、バス案をトラ労使に提示 休息は「原則11時間」に

 厚生労働省は10月29日の専門委員会で、トラックの労使団体と、バスの新しい改善基準告示案を共有した。具体的には1日の休息期間を「原則11時間」、1カ月の拘束時間を「281時間(乗り合いバス)」と「年6回294時間(貸し切り・高速バス)」と定める案だ。
 厚労省はトラック、バス、タクシー業界の過労死防止に向け、昨年から改善基準の見直しを議論。10月8日のバス作業部会で提示した案を、29日の専門委員会で、トラック、タクシーの労使とも共有した。

 バスの新改善基準案では、1日の休息期間は継続8時間、原則11時間と明記するが、運用上は従来通り。上限時間、回数は別途設けるとした。現行の改善基準にはなかった1カ月の拘束時間も規定。乗り合いバスでは「年3300時間を超えない範囲で281時間」、貸し切り・高速バスでは「年3400時間を超えない範囲で年6回294時間」とした。
 休息期間は、バスの使用者団体が「午前5時出勤のドライバーは、午後6時退勤となり、夕方のラッシュ時の減便が避けられないため、受け入れられない」とし、今後の作業部会で話し合う。

 今後、改善基準の見直しが本格化するとみられるトラックはどうか。10月に全国の運送会社1410事業場、ドライバー8460人を対象に、新型コロナウイルス感染拡大下にあった昨年度の拘束時間について実態調査を実施。昨秋行った2019年度の実態調査結果も踏まえ、作業部会で議論を重ねる。

 29日の専門委員会で、トラックの労働者団体は、現行の改善基準で定められた運転離脱時間がトラックの場合、休憩のみならず作業時間も認められることに触れ、「ドライバーが休憩を取れないまま勤務を終えてしまう可能性があり、改善基準に〝休憩時間〟の概念を盛り込んでほしい」と求めた。
 24年4月から適用される、年960時間の罰則付き残業上限に、休日労働が含まれていないことを考慮した拘束時間の設定を求める声も、労使から相次いだ。