- 行政・業界団体
21/10/05
三原厚労副大臣、陸運業など3業種に労災防止で協力要請
厚生労働省の三原じゅん子副大臣は9月29日、陸上貨物運送、小売り、介護の3業種に労働災害防止の協力を要請した。いずれも労災が増加しており、各業界団体で企業への安全対策を徹底するよう求めた。
厚労省によると、2020年に発生した陸運業の死傷者数は1万5669人。今年も増加傾向にあり、現状のペースで推移した場合、国は1万6671人になると推計している。特に業界では、年1000人当たりの災害発生件数が8・94件で、全産業平均の約4倍と高い水準にある。
三原副大臣は、陸上貨物運送事業労働災害防止協会の渡辺健二会長とのオンライン会談で、労災の約7割は荷役作業中に起き、荷台などからの墜落・転落が最も多いことを指摘。「カゴ車を扱う中での災害も多発しており、約8割は不適切な使い方が原因」とした。
カゴ車の対策強化を求める
協力要請では、荷役作業時の安全対策ガイドライン(指針)を基に、墜落・転落災害の防止とカゴ車の安全な取り扱いを推進することを求めた。カゴ車については、テールゲートリフターを使う際の安全対策も徹底するよう要請。労災防止に取り組む企業の好事例を集め、情報共有を図ることも加えた。
要請を受け、「労災が増加傾向にあることに危機感を持っている。今年度は荷役作業時の災害防止に重点的に取り組んでいく」と渡辺会長。陸災防として安全講習会を展開しつつ、全日本トラック協会と連携し、カゴ車やテールゲートリフターを使う前に、現場で安全確認ができるチェックリストの活用を徹底するなど、対策を強めるとした。
三原副大臣が国に期待することを質問したのに対し、渡辺会長は「荷役作業の労災防止には環境整備が重要だが、積み降ろし先では劣悪な場合が多い」と説明。国土交通省と連携し、荷主の理解を得られるよう、責任の明確化を徹底してほしいとした。また労災増加の背景には、各社が労働力不足解消のため、新規人材を多く入れていることを挙げ、「厚労省も新任研修で支援してほしい」と求めた。