• 行政・業界団体

21/10/05

国交省、IT点呼拡大で論点提示

 国土交通省は9月29日、運行管理の高度化を議論する有識者検討会を開き、今後の論点案を提示した。このうち、優良企業以外にも対象を広げるIT点呼の拡大では、制度構築に当たり、機器・システムの他、点呼を行う施設やその周辺環境、運営上の順守事項でどんな要件が必要か否かを検討する。年度内をめどに結論をまとめる。
 IT点呼の対象拡大は運行管理の高度化を目指す施策の一環。ICT(情報通信技術)を活用した多様な機器を点呼に役立て、運行管理者やドライバーの負担を軽減しながら、確実に正しい点呼を行ってもらう環境づくりにつなげる。
 Gマーク(安全性優良事業所)取得企業や、過去3年間で第一当事者となる大事故、行政処分などを受けていない優良企業に認める現行制度を見直し、高度な点呼機器を使うことを条件に、対象を広げることが当面の目標となる。4月から検討会での議論を始め、実証実験の結果を踏まえ、年度内にも具体的な要件を決める方針だ。

制度化で必要か否かを判断

 制度化に向け、国交省は検討会で、要件を定める今後の論点として、機器・システム、点呼を行う施設とその周辺環境、運用上の順守事項の3つを提示。「今回示したのは検討のたたき台。実証実験の結果や、委員からの意見を踏まえ、最終的にどんな要件が必要かを検討する」(国交省)。
 機器・システムでは、IT点呼を行う際の基本要件に加え、事前登録した運行管理者以外、点呼をできないように認証機能を設けるといった、なりすまし防止機能が必要かを検討する。営業所間で点呼に必要な情報を共有したり、平常時と比べてドライバーの疲労、睡眠不足、体調変化を比較できる機能など、運行管理者が確認すべき情報が必要かも議題とする。

実施施設、周辺環境も議題

 点呼を確実に行ってもらうため、ドライバーの顔や全身を確認できるようにカメラを設置することや、通信が途中で途切れない環境を備えるといった、IT点呼を行う施設と周辺環境も検討項目とする方針。運営上の順守事項に関しては、国に届け出を行う報告書の内容や、IT点呼を行う運行管理者の条件、1人当たりが実施できるドライバーの上限人数などを話し合う。
 現在、IT点呼で定める1営業日のうち、連続する16時間以内とするルールについても、「時間の見直しや、仕組みの存続・撤廃も含めて検討していく」と国交省。検討会では委員から「運営上の順守事項が細か過ぎると、取り組みは広がらない」との意見もあり、同省は慎重に要件を決める考え。
 10月からは、トラック、バス、タクシーの9社が参加する第2弾の実証実験も始まり、同省は結果を確認しつつ、まずは12月の次回検討会で制度案を提示する。