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21/09/28

トラック労基法違反、8割超の水準続く

 厚生労働省が昨年に立ち入り調査したトラック企業のうち、8割以上で労働基準法関連の違反があることが分かった。改善基準告示違反も5割以上の企業で見つかり、他の事業用自動車より高い状況が続いている。
 法令違反の疑いがあるとして、昨年全国の労働基準監督機関が立ち入りを行ったのは2780事業場。このうち、81・4%に当たる2263事業場で労基法関連違反が見つかった。最も多かったのは労働時間超過で47・5%。割増賃金の未払いは22・3%だった。労基法で定める休日違反も3・8%あった。
 改善基準告示は調査したトラック企業の56・2%(1563事業場)が違反していた。1日当たり原則13時間と定める最大拘束時間違反が41・2%で最多。総拘束時間が30・8%、休息期間が30・3%、連続運転時間が29・9%だった。いずれもバス、タクシーより違反率が高く、課題が改めて浮き彫りとなった。

悪質で書類送検になる例も

 厚労省は2004年以降、監督指導を行っても改善せず、悪質な労基法違反を犯す運送企業の対策を強化している。国土交通省との相互通報制度や合同監査も進め、昨年は重大で悪質な労基法関連違反が認められたとして、トラックでは46件を書類送検した。
 送検された企業の事例を見ると、運行中に意識障害を来し衝突死亡事故を起こしたドライバーの勤務状況を調査したところ、36協定で定める1日の残業時間を超えて働かせていた。別の企業は、死亡事故による労災請求があったことから勤務状況を確認した結果、1カ月当たり約130時間の違法残業をさせていたことが発覚。36協定も、労働者の過半数代表者が使用者の意向を基に選ばれ、無効なものだった。
 ドライバーの労働環境改善が課題となる中、厚労省は労基法関連の対策を強めており、特に悪質な違反については厳しく対応していく方針だ。