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21/09/24

コロナ禍も引っ越し需要は継続、「広い部屋・通勤時間短縮」へ

 コロナ禍で国民の消費支出が大きく減少する中、引っ越し需要は落ち込まずに継続。テレワークの普及、在宅時間への意識の高まりを受け、トレンドは「家賃が高くても、広い部屋・通勤時間の短さ」を重視する傾向にあるーー。アートコーポレーションのシンクタンク「the0123引越文化研究所」の調査で明らかになった。
 コロナ禍で引っ越しをした人のうち、新居に「とても満足している」と回答した人は30・8%、「やや満足している」は48・1%だった=グラフ1。また、「とても満足」の約8割は旧居よりも広い部屋を選んでいた=グラフ2。
 家賃は「高くなった」が最多で、「変わらない」を含めると全体の7割を占めた。引っ越しの際に最も重視されたのは「通勤時間」で、全体の58・6%を占めた=グラフ3。同研究所は「満員電車を避け、少しでも感染リスクを下げるためでは」と分析している。
20代と40代を比較すると、「通勤時間」や「家賃」を意識するのは20代が多かった。40代は「部屋の広さ(数)」や「間取り」を意識する人が多い。
 一方、コロナ禍で引っ越しを「しなかった」理由は「感染リスク回避のため」が約30%で最多。感染者が多い地域への移動を敬遠したり、十分に内見する機会が少ないためと見られる。「金銭面」も約20%で、先が見通せないコロナ禍で出費を控えようとする傾向もあった。
 コロナ禍の終息後については引っ越しを「とてもしたい」が35・8%。「ややしたい」の56・1%を合わせると、全体の9割以上にのぼった。アフターコロナには需要は一層高まると予想される。
同調査は関東圏・関西圏の民間企業に勤める正社員で、コロナ禍の2020年10月~21年4月に引っ越しをした480人および引っ越しを検討したがしなかった360人を対象に、引っ越しに関する意識と実態を調べた。