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21/09/13

国交省、運転防止装置も含め飲酒事故対策で情報発信

 国土交通省は事業用自動車の飲酒運転防止で新たな対策を展開する。飲酒対策に取り組む運送企業の優良事例をまとめ、ドライバーのアルコール依存症などにどう取り組めばいいかを情報発信する。国として普及促進を目指すアルコールインターロックも盛り込む。
 対策は、建設業の自家用トラックが7月、小学生の列に突っ込んだ千葉県八街市の飲酒運転事故を踏まえたもの。国がその後打ち出した緊急対策では、通学路での安全確保に加え、運送企業の飲酒運転根絶に向けた取り組み強化が明記された。

 飲酒運転の事故は事業用自動車も課題で、2020年は36件発生した。国交省は09年に事業用自動車総合安全プランを策定以来、飲酒運転ゼロの目標を掲げているが、一度も達成できていない。石田勝利安全政策課長は6日の会見で、「昨年発生した飲酒運転による死亡事故は159件。このうち、事業用は4件と自家用と比べようがない。だが、千葉県八街市の飲酒事故はひとごとではなく、事業用の対策もしなければならない」とし、さらなる取り組みを進める考えを示した。

義務化はなく
使い方教える

 新たな取り組みでは、運送企業の飲酒運転対策の優良事例をまとめ、他の企業が参考にできるように情報を発信する。現在、個々の企業の事例を調査しており、飲酒事故の原因となるアルコール依存症のドライバーに、企業がどのように対応していけばいいかなどを周知していく。
 また、緊急対策で普及促進が明記されたアルコールインターロックも、企業の優良事例を基に使い方の情報を発信していく。義務化に関しては「装置を付ければ万能ではない。運行管理の一環として、使い方を教えることとセットでなければならない」と石田課長。

 国交省が18年に発生した事業用自動車の飲酒運転事故40件を分析したところ、1件の事例ではアルコールインターロックを装着していたが、ドライバーがエンジンを切らずに運行中に飲酒。結果、事故を起こしたケースがあった。石田課長は「大半の企業は(装置が)なくてもしっかり管理できている」とし、運送企業が装置を活用し運行管理に役立てるため、参考となる事例の発信に取り組むとした。