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21/09/03

拡大ニーズが続く物流テナント、ECと物流業が需要をけん引

 コロナ禍でEC(電子商取引)物流が伸張する中、物流テナントの需要は引き続きECと物流業がけん引。ポストコロナ期も物流施設の拡大ニーズは続くーー。事業用総合不動産サービスのCBREが、2021年上半期までの物流テナント需要の変遷と今後の見通しについて分析した。
 21年上半期、首都圏の大型マルチテナント型物流施設で物流業が占める割合は51%だった=グラフ1。全国的に例年、安定して5割前後の高い割合が続いており、CBREは小売業や製造業のEC転換の影響を指摘。小売業や製造業のEC物流業務を物流会社が取り込んでいる。また、EC事業者が事業拡大に伴って物流企業に商品流通を任せるケースもある。
 ECの契約面積は19年以降、増大傾向が続く=グラフ2。さらに、20年から新型コロナの「巣ごもり消費」を受けてEC各社は拡大戦略をとっており、ECの契約面積は21年上半期も引き続き、前年同期とほぼ同水準となっている。
 また、物流テナントが占める割合を都市別にみると、04年~20年にしゅん工した物流施設では首都圏全体が57%、近畿圏は63%、中部圏は69%、福岡圏は90%=グラフ3。地方都市ほど割合が高くなる要因として、CBREは「EC物流網の構築に時間がかかるため。荷主の戦略上の違い」と分析している。
 トラックドライバー不足・労働条件改善を背景に、輸送費の削減に向けて在庫を全国に分散させる傾向から「特に流通量の多い食品・飲料や日用雑貨等の商品群について、物流業が地方都市で保管スペースを増強する事例が増える」と分析。また、「荷主企業は地域によって、直接投資と物流企業へのアウトソーシングを組み合わせ、全国の拠点拡大・再編を図っていくのでは」と見ている。

グラフ①

グラフ②

グラフ3