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21/08/31

国交省自動車局・22年度概算要求、電動車普及で増額計上

 国土交通省自動車局の2022年度予算概算要求がまとまった。一般会計の総額は21年度比20%増の22億6000万円。環境関連予算を増額計上し、脱炭素化の実現に向けて電動車の普及を図る。働き方改革、安全・安心の確保でも新たな施策を盛り込み、対策を加速させる。
 来年度は、電動車を推進するための予算を手厚く要求したことがポイント。電気トラック、ハイブリッドトラックなど次世代自動車の導入支援に同78%増の8億4600万円を求め、運送企業の買い替えを促進する。またトラックの電動化は走行距離、バッテリー搭載による積載量などの制約があることから、新たに2200万円を計上し、排出ガスを出さないEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)をどう活用していくかの調査も実施。発地から着地までの輸送ルートを切り分けて使い方をシミュレーションするなど、電動車の導入可能性を検証する。
 環境関連では、産学官の連携で大型車の電動化、内燃機関分野の技術開発を支援したり、国際的な議論ができるように客観的な二酸化炭素排出評価手法を構築し、自動車メーカーが公平に競争できる環境を整備するための予算も盛り込んだ。

ICTで働き方改革を推進

 トラックの働き方改革推進には21年度比17%増の1億円を要求し、標準的な運賃の浸透状況を含む業界の労働実態調査や、「ホワイト物流」推進運動の啓発活動を実施。新たな施策では、各集荷拠点での作業情報管理、最適な集荷ルートの計画をはじめ、ICT(情報通信技術)でドライバーの労働時間改善を進める取り組みを調べ、好事例をまとめて横展開する。
 この他、運送企業が自然災害や感染症といった緊急時も事業継続できるようにするための施策も展開。同8%減の1800万円を計上し、自治体との輸送協定の締結状況を把握した上で、荷主、運送企業、自治体でつくる協議会で課題や対応策、取り組みを広げる方策を検討する。運行管理の高度化には同45%増の3400万円を盛り込み、IT点呼の対象拡大やロボット点呼の機器認定制度の構築を進める。

飲酒運転で新たな施策追加

 安全対策では、運送企業が安全に役立つ車両機器を購入時、費用の一部を補助する事業に同19%増の10億1500万円を要求。このうち、ASV(先進安全自動車)は7月の千葉県八街市の飲酒事故を踏まえ、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報装置といった従来の装置に加え、アルコールインターロックを対象に追加する。
 飲酒運転に関しては、7000万円を計上した健康起因事故防止対策(21年度比27%増)でも施策を講じ、運送企業がアルコール依存症者の監督指導を行えるよう、ドライバー自身に飲酒の傾向を自覚させる方法を調査する。視野検査や脳・心疾患のスクリーニング検査の普及についても対策を検討していく。
 安全対策ではこの他、大雪による大型車の立ち往生が相次ぐことから、3000万円を充て、立ち往生が発生するメカニズムの解明、防止に向けた啓発ビデオの作成などを進める考え。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中速で公道を走行する中型自動配送ロボットの実用化に向け、制度を整備するための2000万円も計上した。