- 統計・データ
21/08/19
物流業界は副業で人気、一方「コロナ禍副業」は過重労働のリスクも
コロナ禍の副業先として「配送・倉庫管理・物流」は人気がある。だが、コロナ禍がきっかけで始めた副業は不利な条件で働かざるを得ないケースも多く、過重労働リスクをはらんでいるーー。物流業界での副業を取り巻く現状と課題が、パーソル総合研究所の調査で明らかになった。
新型コロナの感染拡大以降、残業が減少し、平均6・9時間分の減収となっている。そのため収入補てんなどのネガティブな動機で副業を始めた「コロナ禍副業」が増加している。減収の影響で、副業を始めた人の本業に多いのは、「事務・サービスサポート職」や「営業」、「配送・物流」となっている。
またコロナ禍副業での就業先は、「配送・倉庫管理・物流」が13・0%と最も多い。次いで、「フードデリバリー・配達」が7・9%、「顧客サービス・サポート」が4・6%と続く。コロナ禍副業に限らず、「配送・倉庫管理・物流」は人気で、全体の副業先の11・2%を占めて2位=表1。
さらに、男性正社員の副業先を年代別にみると、「配送・倉庫管理・物流」は20代で9位(9・5%)、30代で3位(9・3%)、40代・50代では1位(17・8%、14%)となっている。
同業での副業割合高く
副業をする動機を本業別に見た場合、「配送・物流」に従事する人の動機のトップは「収入補てん」で全職種中最も多かった=表2。また、「配送・物流」は5割超は副業先にも同業種を選んでいる。
ただ、コロナ禍副業は注意が必要な部分も。コロナ禍以前の副業と比較すると、パート・アルバイトなどの非正規雇用の割合が9・1ポイント増の36・6%。1カ月あたりの労働時間はほぼ同じだが、コロナ禍副業の平均時給は294円安い1629円。やむを得ず不安定な雇用形態・低賃金で働いている実態が浮かび上がった。
容認する企業も多く
企業の全体的な副業容認傾向は、2018年調査比3・8ポイント増の55・0%で、サービス業を中心に微増。このうち、社員の副業を「全面的に容認している」は同9・3ポイント増の23・7%となった。副業容認の理由は「従業員の収入補てんのため」が34・3%で最多。「運輸業、郵便業」では、同11・6ポイント増の49・5%が副業を認めている。
一方、企業側が従業員の過重労働を懸念して副業を禁止する割合は、前回調査比9・5ポイント減の39・7%。副業者への支援も、52・3%の企業が「とくにない」と回答した。
パーソル総合研究所は「本業への不満からの副業は本業への還元にはつながらず、過重労働のリスクも高める」と分析。「コロナ禍副業」の層が抱えるキャリアの不安や心理的ストレスの問題を指摘し、「過重労働や低賃金労働へのケアおよび注視を」と提言している。
同調査は、パーソル総合研究所が3月4日~8日、「第二回副業の実態・意識に関する定量調査」として実施。調査モニターを用いたインターネット定量調査で、スクリーニング対象者・副業者合わせて1703人の回答をまとめた。