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21/07/20

IT点呼、実証実験は次の段階移行

 IT点呼の対象拡大に向け、国土交通省は7月以降、新たな取り組みを始める。今春から実証実験を手掛ける企業に、国のまとめた評価基準を導入してもらい、運行管理者のなりすましを防止できるかや、ドライバーの健康異常が見つかった際に適切な管理が行えるかなどの課題を検証する。
 IT点呼の対象拡大は運行管理の高度化を目指す取り組みの一環。ICT(情報通信技術)を活用した多様な機器を点呼に役立てることで、運行管理者やドライバーの負担を軽減しながら確実に正しい点呼を行ってもらう環境整備につなげる。
 4月から始まった実験はトラック、バス、タクシーを含め計7社が参加しており、さまざまなIT機器を使った点呼を実施。各社が事前に評価方法を定め、対面点呼と同様に適切な管理が行えるかを確認している。

なりすまし防止を確認

 これに対し、7月以降は国交省のまとめた基準で各社に評価してもらうことで、IT点呼を認める機器の性能要件などの検討で材料とする考え。具体的には、まず想定される12項目の課題を選び国のまとめた評価方法で検証していく。
 例えば、運行管理者のなりすまし防止では、運行管理者資格を持たない人が点呼をしようとした場合、事前に何も聞いていないドライバーや周囲の人が気付くかを確認。事前に予定していないドライバーが点呼に臨んだ際、運行管理者が違いに気付くかも確かめる。
 また、ドライバーが体温や血圧で異常値を提示したり、体調不良を申告したりした場合、点呼する運行管理者が適切な注意を促せるかも確認していく。異常がある際、運行管理者がドライバーが所属する営業所の運行管理者に連絡し、交代する人の手配を適切に行えるかも検証する。
 他にも、機器・システムの故障時に事前に定めた運用通りに対応できるかや、ドライバーがわざと不備のある日常点検表を、IT点呼でカメラ越しに見せた際、運行管理者が誤りに気付くかも評価する。