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21/07/14
宅配の再配達率、在宅時間の減少で11・2%と再び上昇
国土交通省によると、大手宅配3社が4月に配達した宅配便のうち、再配達の割合は前年同月比2・7ポイント増の11・2%となり、再び増加に転じた。今年も緊急事態宣言は発出されているが、全国規模ではなく、受取人の在宅時間が減少し再配達率が上昇した。
調査はヤマト運輸、佐川急便、日本郵便から、都市部(東京23区)、都市部近郊(都内の市)、地方(人口密度の低い都道府県の市)の配達データを聞き、集計した。
3社が対象エリアで配送した計266万4095個のうち、29万8003個が再配達だった。全地域で再配達率が上昇し、特に都市部は同3・8ポイント増の12・0%と最も高かった。都市部近郊は同2・2ポイント増の10・7%、地方部は0・1ポイント増の10・2%だった。 調査の中心となった東京などでは緊急事態宣言が発出されたが、今回は休校要請がなかったほか、外出自粛効果が薄れたことで在宅時間が短くなり、再配達率が上昇に転じた。
今後もさらなる削減へ
一方、国交省が2014年12月に行った労働損失の計算を参考に、本紙が労働損失を試算したところ、再配達に費やした宅配ドライバーの労働時間は約953万2700時間で、約4770人分の労働損失に相当。昨年の同じ時期は3500人で、労働力不足の中、ドライバーの負担が高まる結果となった。
今後の見通しに関し、国交省は「新型コロナワクチンが普及すれば外出機会が増え、さらなる再配達の増加も考えられる。非対面の受取サービスを充実させることで、抑制につなげたい」とする。
6月に閣議決定した総合物流施策大綱で、政府は25年度までに再配達率を7・5%程度にする目標を設定。昨年策定したガイドライン(指針)を基にした置き配の推進などを通じ、労働生産性を改善する方針だ。
宅配各社も、会員制ウェブサービスを活用した配達前の日時指定の変更、配達場所の指定、駅やコンビニへのオープン型宅配ボックスの設置など、受け取り方法を増やしており、消費者の利便性を高める取り組みを進めている。