大日本印刷とトーハン、製造×物流で新たな書籍流通体制の確立へ

　書籍流通大手の大日本印刷（本社・東京、北島義斉社長）とトーハン（同・同、近藤敏貴社長）はこのほど、製造と物流を組み合わせた新たな配本体制の確立を目指す。共同で取り組む出版流通改革の一環で、書店や出版社の在庫と連動してタイムリーに書籍を届ける物流拠点「書籍流通センター（ＳＲＣ）」を活用。書籍の返品率の削減と廃棄の極小化を図る。
　両社は2022年夏をめどに、「トーハン桶川ＳＣＭセンター」内に新たなＳＲＣを設置する。ＳＲＣはこれまで、大日本印刷が同グループの丸善ジュンク堂書店と共同で整備してきたが、同所に新設してトーハンの倉庫・物流機能との連携を強化する。
　また、１冊から書籍を製造できる大日本印刷の白岡工場や出版社倉庫との連携拡大で情報流通改革を進め、適時・適量の配本を目指す。
　大日本印刷は15年度からＳＲＣを整備し、書籍の製造から物流・販売までのリードタイム短縮を図ってきた。トーハンは19年度からマーケットイン型出版流通の構築に取り組み、読者や書店のニーズを起点とした流通を模索してきた。
　両社は今後、連携を強化してマーケットの需要に応じた新たな配本体制を構築する。共同仕入や書店の販売力向上などにも取り組み、出版流通市場全体で欠品を無くし、販売機会を増やす。新たな配本体制は両社のグループ書店で試験運用後に全国展開し、大規模な出版流通改革につなげる。