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21/07/01
国交省・実態調査、荷待ち認識で荷主と差
荷主と実運送会社で荷待ち時間の認識に差があることが、国土交通省の調査で分かった。「荷待ちが発生している」と答えた割合は実運送で7割を超えたのに対し、荷主は2割にとどまった。改善基準告示も「存在や内容を全く知らない」とする荷主が半数を占め、課題が浮き彫りになった。
調査は働き方改革に対する荷主、運送企業の認識や浸透度、実施状況を把握することを目的に実施。2015年に行った調査をベースに、ドライバーの労働時間や荷待ち時間を調べた。今年1~3月にアンケートを送付し、379社の荷主と、1067社の運送企業から回答を得た。ドライバー(回答3993人)にも荷待ち、荷役の状況について確認した。
荷待ち時間のある1運行当たりの拘束時間(平均値)は12時間26分で、15年調査より約1時間減少した。内訳では、運転や荷待ちで変化はなかったが、荷役は1時間29分と15年調査より1時間15分短縮。休憩は1時間58分と35分伸び、一定の改善が見られた。
荷待ち1回当たりの平均待ち時間は、15年調査より4分長い1時間13分。15年調査では1時間以上の待ち時間の割合が48・8%だったが、今回は51・5%だった。
半数以上が存在知らず
一方、調査ではドライバーの労働条件改善の課題が改めて浮き彫りになった。荷待ち時間が発生しているかを聞いた問いでは、実運送の73・4%が「発生している」と回答したのに対し、発荷主は60・5%、着荷主は60・9%が「発生していない」と答え、認識の違いが鮮明だった。
原因に関し、国交省は「ドライバーが早く荷物を降ろしたい場合、並ばざるを得ないが、着荷主はこれを荷待ちと認識していない」と指摘。トラック予約受付システムを使えば改善が見込める課題とし、「導入していないのであれば、荷主原因の荷待ちと言うことができる」とした。
改善基準告示の認知度では、荷主の50・1%が「存在も内容も知らない」と答えた。「存在は知っているが、内容までは知らない」とする回答も31・9%あり、ほとんど浸透していないことが明らかになった。実運送と元請けも約2割が内容を理解していなかった。
国交省は「実運送、元請けが内容を知らないことは問題。荷主はもっと問題で、改善基準告示の認知を高めることが重要になる」としている。