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21/06/01

経産省・国交省の有識者検討会、脱炭素化で意見交換

 経済産業省と国土交通省は5月19日、自動車の脱炭素化に向けた政策を議論する有識者検討会を開催。これまで業界団体に行ったヒアリング結果をテーマごとに分けて確認した上で、委員間で意見交換を行った。
 同志社大学の稲葉稔教授は、脱炭素化で欧州と同じく、自動車の完全EV(電気自動車)化を目指す必要があるとの論調が出ていることに対し、「エネルギー事情は各国で異なる」と指摘。プラグインハイブリッド車への転換をはじめ、当面は化石燃料を使いながら計画的に多様なエネルギーの活用を進め、「日本が最も二酸化炭素削減に効果がある車を世界に出すことが必要」とした。
 また蓄電池産業についても「低コスト化は国際競争力を持つ上で重要。原料から製造、リサイクルまでのサプライチェーンで政府の支援が必要になる」と言及。2000年代後半以降、中国、韓国に追い上げられた経緯を踏まえ、産業力強化が不可欠と強調した。
 会合ではこの他、「これまでは足元の議論が多く、50年までのビジョンを逆算し、いま何をすべきかの積極性を打ち出したい」、「自動車の電動化とエネルギーの脱炭素化を並行して進めなければならない」といった意見が委員から上がった。
 検討会での議論を踏まえ、国交省と経産省は50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする政府目標の実現に向けて、自動車分野での政策を検討していく。