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21/05/11

国交省、加食ガイドラインを改訂し飲料・酒の対策を追記

今後はガイドラインの普及に注力し、ドライバーの労働条件改善を進める

 国土交通省は4月27日、加工食品物流の取引適正化と長時間労働是正策をまとめたガイドライン(指針)を改定した。実証実験の結果を基に、飲料・酒物流で起こる非効率の原因や改善策などを盛り込み、業界関係者に共有してもらうことでドライバーの労働条件改善につなげる。
 輸送品目別の課題の検討は、ドライバーの長時間労働改善を目指す取り組み。2018年から、30分以上の荷待ちが多い品目で有識者懇談会を立ち上げ、これまで加工食品、紙・パルプ、建設資材で対策を議論してきた。昨年度は飲料・酒を対象とし、有識者分科会で課題の洗い出しなどを進めてきた。
 指針には5つの実証実験の結果を盛り込んだ。このうちの一つが、卸がメーカーの事前出荷情報を信頼し、数量や外装異常の確認などを一切せずに入荷する「ノー検品」で、実験を行った卸の拠点では、ドライバーが荷降ろし後、荷ほどき、検品立ち会いなどの作業がなくなり、労働時間が導入前比で月3~6時間程度削減できたと説明。卸もバース回転率の向上、庫内作業員の計画配置につながったとした。

古い商習慣見直しで効率化

 また製造時期を年月日表記から年月表記に変えることで、どのくらい庫内作業効率が上がるかについても解説。実験では年月日表記の製品と、年月表記の製品を比較した結果、年月表記の方で先入れ先出しの回数が大幅に減り、年195時間ほどの作業時間削減効果が得られたと説明した。
 指針ではこの他、飲料・酒を配送するドライバーが小売店・飲食店で行う付帯作業の見える化や、メーカーと卸がそれぞれ手配する車両を相互活用すると、どのくらい稼働率が改善するかなどを紹介。加工食品の外装サイズの標準化を議論する民間協議会がT11型パレットに適合する寸法、高さをまとめた指針の内容も盛り込んだ。
 指針の最後には、荷主や物流企業、メーカー、業界団体、行政がそれぞれ果たす役割を記載し、関係者一丸で取り組むことが課題解決につながると書き加えた。指針は国交省のホームページhttps://www.mlit.go.jp/jidosha/content/_210416_guideline.pdfから無料で取得できる。